関連質問です。8月革命説は、丸山真男が宮沢俊義に教えたという話がありますが、では、丸山がそれを認めた文章はありますか、丸山の文章の中で、8月革命説らしき論を展開しているものはありますか。
ウェブにない情報も歓迎します。
東京大学法学部・大学院法学政治学研究科
おそらく、先の質問に対する私の回答を受けて、この質問をされたことと思います。
私もその後ちょっと調べまして、後にわかったことを以下に書いておきます。
1.丸山が宮沢に八月革命説を教えたことについて
『丸山真男集』(別巻)の47頁に、1946年当時の丸山の記録が書かれてあります。
そこに、2月14日、丸山が「東京帝国大学憲法研究委員会(委員長=宮沢俊義)委員となり、書記役をつとめ、憲法改正の手続きについてまとめた第一次報告書を執筆。委員会で丸山が提示した八月革命説を、宮沢は丸山の承諾をえて「八月革命と国民主権主義として発表(『世界文化』五月号)」と書かれてあります。
というわけで、丸山としては、文章の形で八月革命説を提示したわけではない、ということになるかと思われます(口頭で、ということになるんじゃないでしょうかね......)。
2.
ところで、「では、どうして丸山真男は、本業ではない憲法学説に知恵を出したのでしょうか。普通、あんまりしないことですよね。」とレスがあったのですが、これは、おそらく誤解ですよと申しておきます。
『丸山真男集』(第九巻)285頁を参照してください。次のことが分かるかと思います。
丸山が、「大内兵衛・我妻栄・宮沢俊義の諸先生が中心となって、当時の政府によって法制に基づき設置された「憲法調査会」に学問的に対抗する狙いで1958年結成された民間団体である」憲法問題研究会に参加しています。
そこで、「会員は順番に例会報告の義務を負い、報告ののち活発な質疑応答が交わされた。私はもちろん憲法学あるいは公法学を専攻する者ではないが、文学畑の人も報告するのに、ともかくも社会科学の領域にある私が責を逃れるわけにはゆかなかった」とあります。
だから、むしろ丸山は憲法論について自ら参加していったのです。
なお、「憲法問題研究会」でググッてみると、全く違う団体に行き着くので、ご注意を。
3.文章の中で8月革命説らしき論を展開しているものはあるか
「文章で」ということとなると、今のところ私は確認しておりません。
但し、8月革命説の評価について、丸山の手によってなされている文章はいくつもあります。
これぐらいでいいですかね?
丸山真男集までお目とおしいただき、ありがとうございました。大変貴重な情報です。
戦後の日本の主権(者)についての重要な学説である「8月革命説」が、口頭で、丸山から宮沢に伝えられたというのは、おもしろい。
では、丸山は自分で考えたのでしょうか。それとも、誰かから、アイデアをもらったのでしょうか。
戦後の8月革命説は、戦前の現人神説と同じくらい荒唐無稽じゃないかと、思うのですが、どうでしょうか