
株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(
id:ryuka01)です。
オウンドメディアで、皆さんは記事毎にどのような数値を見ていますか?
オウンドメディアで成果を出すためには、ただ数値を眺めるのではなく、コンテンツの種類に合わせた適切な数値を見て分析と改善を行うことが重要です。
そこで本記事では、オウンドメディアの分析でありがちな「失敗パターン」をまず紹介し、その後、どのように記事を評価すれば良いかを紹介します。
- オウンドメディアでありがちなコンテンツ分析の失敗パターンとは
- 効果的な分析フレームワーク:「4つの力」
- 改善事例の紹介1:わずかな修正で直帰率に大きな変化が
- 改善事例の紹介2:再訪問の重要性を理解し、施策に反映させる
- 改善事例の紹介3:本文最後での誘導を追加し、閲覧率が向上
- ユーザー視点のKPIを追加する
- まとめ:3つの改善ポイント
オウンドメディアでありがちなコンテンツ分析の失敗パターンとは
オウンドメディアを運営していると、日々増えていくコンテンツをどのように評価し、改善していけばよいか悩むことはありませんか?
多くの企業が陥りがちな分析の失敗パターンと、効果的な改善アプローチについて解説します。
失敗パターン1:数値の羅列に終始してしまう

多くのオウンドメディア担当者が最初に直面する問題は、Google Analytics 4(以下:GA4)などの解析ツールから出力される膨大な数値データとの向き合い方です。
ページビュー数、訪問数、滞在時間、直帰率、ソーシャルシェア数、送客数など、確認すべき指標が多すぎて「数値が多くてよくわからない」という状態に陥ってしまいます。
この状態では、どのコンテンツが本当に価値があるのか、何を改善すべきなのかが見えてきません。結果として、ただ数値を眺めるだけで具体的なアクションにつながらないという悪循環に陥ります。
失敗パターン2:PV至上主義による誤った評価
もう一つの典型的な失敗は、ページビュー(PV)数だけでコンテンツの良し悪しを判断してしまうことです。
確かにPV数は重要な指標ですが、それだけでは以下のような重要な視点が抜け落ちてしまいます。
- 読者がコンテンツをしっかり読んでいるか
- 次のアクションにつながっているか
- 再訪問を促せているか
- 最終的な成果(コンバージョン)に貢献しているか
ページビューに限らず単一の指標でコンテンツを評価する事は難しいです。コンテンツ作成の目的にあわせて、適切な指標を選ぶべきです。
失敗パターン3:正しく指標を使っていない
直帰率や滞在時間などは記事の評価に使われることが多いですが、正しく利用されていない、あるいは評価として使えないケースもあります。
まず直帰率(1記事だけ見た離脱した割合)ですが、記事のテーマや長さによっても変わってきます。また、記事内や後にどれくらい導線を入れるかによっても変わりますし、流入元の内訳によっても大きく変わります。
そして、利用者としては1記事だけを見て「回答を得られて満足したので帰る(離脱する)」ということもあるでしょう。
つまり、参考にしては良いのですが、直帰率単体で記事の改善優先順位を決めることはやめましょう。
滞在時間に関しても同様です。記事のテーマや長さによって変わることは直帰率と同じですし、要点がまとまっていてわかりやすい記事ほど滞在時間が短くなるかもしれません。
そのため記事同士の比較が難しく、評価指標としても改善候補の洗い出しとしても使いにくい指標です。利用するのであればスクロール率や読了率の方が良いでしょう。
GA4などの解析ツールでは設定をすることによって、スクロール率や読了率を計測できるので、オウンドメディアでは特に設定をオススメします。
失敗パターン4:作って終わりの「使い捨て」コンテンツになっていて、分析できていない
実は、多くのメディアでは古い記事ほど更新頻度が低く、作りっぱなしになっているケースが多いのです。
しかし、オウンドメディアのサイトのデータを見てみると、数年活動している場合、直近1年の記事が全体の訪問に占める割合はそれほど高くなく、私が見てきた複数のサイトでは50%を超えていることはありません。過去の記事がオウンドメディアの訪問の土台を作っていることが多いです。
つまり、新しい記事を書き続けて流入を確保する事は大切ですが、同じくらい(あるいはそれ以上)に公開後の記事の改善が大切になります。
新規に書く場合はネタが尽きてしまうこともありますが、過去の記事の改善であれば、工数も少なく、成果を出しやすくなります。特に、流入は多いけれど、成果(コンバージョンなど)につながっていない記事は優先的に直すことで、より大きな成果を生み出すことができます。
効果的な分析フレームワーク:「4つの力」
では、どのようにコンテンツを評価すればよいのでしょうか。ここで紹介したいのが「4つの力」という分析フレームワークです。

1. 集客力
- 意味:該当ページがどれくらい訪問されているか
- 定義:流入回数と流入頻度
- 活用方法:数が多いほど、多くの人にとってニーズがあるコンテンツ。関連コンテンツを増やしたい。また1人あたりの平均訪問回数が高い場合は、特にニーズが高いコンテンツであることがわかる
2. 閲覧力
- 意味:該当ページがどれくらい読まれているか
- 定義:スクロール率や読了率
- 活用方法:スクロール率(特に最初の10%〜20%)で大きく数値が落ちないことが大切です。ここで離脱していると、その先の重要な情報を見られません。書き出しを見直したり、流入元で期待されている内容が序盤に出てきているかを確認しましょう。
読了率に関しては読み切ってもらったという意味で、記事の没入度を測ることができます。そして読了率が高ければ高いほど次の記事やページへの誘導も行いやすくなります。同一テーマや同程度の記事の長さ同士で比較を行い、特徴を見つけましょう。
3. 誘導力
- 意味:該当ページからどれくらい離脱していないか
- 定義:離脱率が低いと誘導率(遷移してもらいたいページへのクリック率)が高い
- 活用方法:他のページへの誘導がしっかり出来ている記事とそうではない記事は必ず出てくる。ページのレイアウトや、リンクの配置などを参考にする
4. 成果力
- 意味:ページを経由して成果にどれくらい辿り着いているか
- 定義:ページ経由のコンバージョン率
- 活用方法:成果に繋がりやすいコンテンツなので、本ページへの集客を増やす、あるいは類似コンテンツの作成を行う
この4つの視点で、各コンテンツを見ていくことで一定の評価ができるようになります。以下で、その具体例を紹介します。
散布図を使った実践的な分析方法

この4つの力を2軸の散布図で表示することで、課題を発見しやすくなります。
例えば
- 右上(◯):集客力も誘導力も高い優良コンテンツ
- 左上(△):誘導力は高いが集客力は低い → SEO/SEM強化の余地あり
- 右下(△):集客力は高いが誘導力は低い → コンテンツ内のリンク改善が必要
- 左下(×):両方とも低い → 大幅な改善が必要
このように可視化することで、各コンテンツの改善ポイントが明確になります。
改善事例の紹介1:わずかな修正で直帰率に大きな変化が

筆者が運営するブログのとある記事では、お知らせ欄を記事の最後から冒頭に移動しただけで、直帰率が89%から42%へと大幅に改善しました。
これは、読者が求めている情報(最新情報)を見つけやすい位置に配置したことで、ページからの離脱を防げた例です。
改善事例の紹介2:再訪問の重要性を理解し、施策に反映させる

さらに重要なのが「再訪問」という視点です。多くのサイトでは、新規訪問者を100%とした場合、リピーターの方がコンバージョン率・売上ともに高くなる傾向があります。
これは、初回訪問で購入を決断することは稀で、比較検討を経て再訪問した際に成約に至るケースが多いためです。
コンテンツを評価する時に、リピートの割合なども参考にすると良いでしょう。
例えば、リピーター向けのコンテンツを増やし、またメールマガジンやソーシャルメディアなどでリピーター向けの獲得施策を強化することで、再訪問者のコンバージョン率や売上向上につなげる、といったアクションをとることができます。
改善事例の紹介3:本文最後での誘導を追加し、閲覧率が向上
記事が読み終わった後の誘導も非常に大切になります。記事の最後の方の本文内に、関連記事へのリンクを入れる事は、誘導を高める上で欠かせない施策になります。これによって離脱率が半分以下になったり、もう1記事の閲覧率を20%から35%まで高めたケースもあります。

ユーザー視点のKPIを追加する
4つの力に加えて、もう一つ重要な視点があります。それは「ユーザーにどのような価値を提供しているか」という視点です。記事を閲覧することによる態度変容を想定し、それを計測可能な数値として「仮説」を置きましょう。
例えば
- シェアをしてくれた人数
- 継続的に閲覧してくれる人数(ファン化)
- 次のステップに進んでくれた人数
これらのユーザー軸のKPIは、表面的な改善では増やすことが難しく、本質的な価値提供が求められます。しかし、だからこそ長期的な成果につながる重要な指標となります。
今までの指標と並行で(新たな視点を+1)することで根本的なオウンドメディアの方向性や考え方を整理するのに役立ちます。
まとめ:3つの改善ポイント
オウンドメディアのコンテンツ分析を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です:
- 記事は公開後が本番 - 定期的な分析と改善を継続する
- ギャップから気づきを発見 - 4つの力の散布図で課題を可視化する
- ユーザー軸のKPIを考える - PV以外の本質的な価値指標を設定する
数値の羅列に終始するのではなく、「4つの力」というフレームワークを使って体系的に分析することで、具体的な改善アクションにつなげることができます。さらに、ユーザー視点のKPIを加えることで、読者に真の価値を提供するコンテンツ作りが可能になるでしょう。
オウンドメディアの成功は、一朝一夕には達成できません。しかし、適切な分析フレームワークを持ち、継続的な改善を行うことで、必ず成果は現れます。まずは自社のコンテンツを「4つの力」で分析してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
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【資料サマリ】Google Analytics 4の概要/オウンドメディアで計測すべき5つの指標と設定方法/ユニバーサルアナリティクスと同様の設定をGA4で実現する方法(全66ページ)









