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株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

オウンドメディア運営を担当していると、「検索からユーザーがどう流入し、その後どのような行動を取ったのか」を知りたいと思う場面は多いでしょう。

そこで役立つのがGoogle Analytics 4(以下、「GA4」)とGoogle Search Console(以下、「GSC」)の連携です。

GA4はサイト内のユーザー行動を把握するために有効なツールで、GSCは検索流入に関するデータを提供してくれるツール。この二つを連携させることで、検索エンジンからの流入とサイト内での行動を結び付け、より深い分析が可能になります

本記事では、GA4とGSCの連携方法から、実際に連携させるメリット、さらに実務で役立つ活用例まで、初心者向けに分かりやすく解説していきます。

GA4とSearch Consoleの連携方法

まずは連携の手順を整理しておきましょう。

GA4の管理画面を開き、左下の「管理」メニューに進むと、「プロパティ設定>サービス間のリンク設定」に「Search Console のリンク」という項目が表示されます。

GA4とSearch Consoleの連携方法

ここから「リンクを追加」を選び、Search Consoleの対象プロパティを選択して、紐づけたいGA4のウェブストリームを選択すれば設定は完了です。

プロパティを選択

一つのGA4プロパティに連携できるのは一つのSearch Consoleのみ、という点に注意してください。したがって複数のドメインを一つのプロパティで計測している場合、複数のSearch Consoleを紐づけることはできません。アクセス数が最も多いドメインなどを対象に紐づけましょう。

設定後、GA4の「レポート」メニューに「検索クエリ」や「ランディングページ」といったSearch Console由来のレポートが追加されます。追加されない場合は「レポート>ライブラリ」を開き、コレクションの中にある「Search Console」のメニューから「公開」を選んでください。

公開

GA4とSearch Consoleを連携させるメリット

GA4とGSCを連携させる一番のメリットは、データを一つの画面で確認できることです。

これまでは、検索クエリを調べるときにはGSC、サイト内の行動やコンバージョンを見るときにはGA4と、ツールを行き来しなければなりませんでした。しかし、この二つを連携させれば、GA4のレポート上で検索指標も確認できるため、レポート作成や分析の効率が大幅に向上します

特に注目すべきは「ランディングページ」レポートです。このレポートでは、検索からどのページにユーザーが流入してきたのかを把握できるだけでなく、そのページがどれだけコンバージョンにつながったのかも同時に確認できます。

例えば「検索からの流入は多いのにコンバージョン率が低いページ」が見つかれば改善対象になりますし、「流入は少ないのに高いコンバージョン率を誇るページ」は導線などを強化すべきページだと判断できます。

「ランディングページ」レポート

検索クエリとコンバージョンをどう分析するか

ここで注意すべき点があります。GSCが提供する「検索クエリ」レポートでは、クリック数や表示回数、CTR、平均掲載順位といった検索指標を見ることができますが、GA4のコンバージョン指標を直接追加することはできません

これはGA4とGSCの連携仕様上の制約であり、探索レポートでも同様です。そのため、「検索クエリ × コンバージョン数」という表をそのままGA4で作ることはできません。

では、どのように分析すればいいのでしょうか? 実務では「ランディングページ」を介して突き合わせる方法が現実的です。

まず、GA4の「ランディングページ」レポートでコンバージョン指標を確認します。

コンバージョン指標を確認

上記の例では、5位のページでキーイベントが発生していることが分かります。

次に、GSCの「検索パフォーマンス」で該当URLのフィルタリングを行います。

該当URLのフィルタリング

その結果、「どのクエリが成果に貢献するページを呼び込んでいるのか」を間接的に見極めることができます。

さらに高度な方法として、BigQueryで両方のデータを統合して分析する方法もあります。これらを利用すれば、より自由度の高い分析が可能になりますが、初心者はまず「ランディングページを介した突き合わせ」から始めることをおすすめします。

新規記事やコンテンツの効果測定にも有効

GA4とGSCの連携は、既存ページの分析だけでなく、新規記事やコンテンツの効果測定にも役立ちます。

具体的な流れを、3つのステップで見ていきましょう。

  • ステップ1:GSCで流入キーワードを確認する
    • まずはGSCで新しい記事のURLでフィルタリングし、どのような検索クエリから流入しているかを確認します。

GSCで流入キーワードを確認

  • ステップ2:GA4の標準レポートで全体の傾向を把握する
    • 次にGA4に移動し、標準レポートでトラフィックを「自然検索」に絞り込みます。ここでは、まずサイト全体やページごとの大まかな傾向を掴むのが目的です。

GA4で自然検索に絞り込み

  • ステップ3:GA4の探索レポートで詳細な行動を分析する
    • 最後に、検索から流入したユーザーが「具体的にどのような行動を取ったのか」を深掘りするため、探索レポートを活用します。ページ単位で流入したユーザーがサイト内でどのように遷移し、最終的にコンバージョンにどのように貢献しているかを確認しましょう。

探索レポートで確認

このステップを踏むことで、その記事が単なるアクセス増にとどまらず、その後のサイト内での動きと成果に寄与しているかどうかを正確に評価でき、実際にビジネスに貢献するコンテンツ作りが可能になります。

サイト種別ごとの活用例

ここからはサイトやメディア種別ごとの活用例を詳しく見ていきましょう。

サイト種別 主なコンバージョン(目標) 分析で確認するポイント 発見できる課題と改善アクションの例
BtoBサイト 問い合わせ、資料請求 (リード獲得) GSC:「製品名 × 課題解決」クエリ
GA4: 問い合わせへの貢献度
流入大・CV低:ページ内導線の改善
流入小・CV高:広告や追加コンテンツで露出強化
ECサイト 商品購入(売上) GSC:「ブランド名 × 商品カテゴリ」クエリ
GA4:ランディングページの購入率
流入大・購入率低:商品ページの写真やレビュー導入
流入小・購入率高:SEOでの露出を増やす
オウンドメディア 記事読了、回遊、 ホワイトペーパーダウンロード、メルマガ登録 GSC:「テーマ名 × 課題キーワード」クエリ
GA4:読了率、回遊率、各種コンバージョン
流入大・離脱多:記事構成やCTAの改善
流入小・CV高:コンテンツの拡散やSEO強化

BtoBサイトでの活用例

BtoBサイトでは、問い合わせや資料請求といったコンバージョンが最終ゴールになるケースが多くあります。

例えば、GSCで「製品名 × 課題解決」といった検索クエリから流入しているページを確認し、そのページがGA4で実際に問い合わせにどれだけつながっているのかを評価すれば、SEO施策の成果を直接的に把握できます。

もし検索流入は多いのに資料請求につながっていないなら、ページ内の導線を改善する必要がありますし、逆に流入は少なくても高いコンバージョン率を示しているページがあれば、広告や追加コンテンツでの露出強化を検討できます。

このようにBtoBサイトでは、限られた流入をいかに確実にリード獲得につなげるかが重要であり、GA4とGSCの連携がその意思決定を支えるのです。

ECサイトでの活用例

ECサイトの場合は、商品ページやカテゴリーページへの流入が中心となります。

GSCで「ブランド名 × 商品カテゴリ」などの検索クエリを確認し、GA4でそのランディングページの購入率を追えば、「SEO流入がどの商品群の売上に貢献しているのか」を把握できます。

例えば、検索流入は多いのに購入率が低い「新商品A」の場合、商品ページの写真やレビュー導入に改善の余地があると判断できますし、検索流入は少なくても購入率が高い「定番商品B」の場合は、SEOでの露出を増やすことが売上拡大につながります。

ECサイトにおいては「売上貢献度を検索クエリやページ単位で測る」ことができるのが特徴です。

オウンドメディアでの活用例

オウンドメディアでは、記事の読了や他コンテンツへの回遊、最終的にはブランド理解やリード獲得への貢献が重要です。

GSCで「テーマ名 × 課題キーワード」などの検索クエリから記事への流入状況を確認し、GA4でその記事の読了率、そしてそこからの回遊率やホワイトペーパーダウンロード、メルマガ登録といったコンバージョンを確認すれば、コンテンツが成果につながっているかを評価できます。

もし検索からの流入はあるのにユーザーが記事を読み切らず離脱しているなら、記事構成やCTAを改善する余地がありますし、逆に少ない流入でも多くのリードを生んでいる記事なら、拡散やSEO強化の対象になります。

オウンドメディアは単なる流入数ではなく「どのテーマが実際にリードに寄与しているか」を把握することが肝心であり、連携によって新たな気づきが得られます。

初心者が注意すべきポイント

最後に、初心者がつまずきやすいポイントを整理しておきます。

まず、GA4とGSCの対象サイトが一致していないと連携できないため、プロパティ設定には注意が必要です。

また、連携してすぐにデータが反映されるわけではありません。数日待たなければレポートにデータが表示されないこともあります。

そして、GA4とGSCでは計測のロジックが異なるため、同じページを見ていても数値が一致しないのは正常なことです。

繰り返しになりますが、「検索クエリとコンバージョンを直接掛け合わせることはできない」という仕様は、最初に理解しておくべきポイントでしょう。

まとめ:まずはランディングページの分析から

GA4とGSCを連携すると、検索流入とサイト内行動を一体的に把握できるようになります。

特に「ランディングページ」レポートでは、検索指標とコンバージョン指標を同時に確認できるため、SEO施策の成果を直接評価できる点が大きな強みです。

一方で、検索クエリとコンバージョンを直接掛け合わせることはできないため、ランディングページを介した分析や外部ツールでのデータ結合を活用することが現実的なアプローチとなります。

初心者のWebマーケターであれば、まずは「ランディングページ × コンバージョン」を確認し、GSC側の「ランディングページ × クエリ」と突き合わせるところから始めてみましょう。

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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。

また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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