
株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓 (
id:ryuka01)です。
「GA4のデータを見ているはずなのに、何を改善すればいいのか、いまいちピンとこない」。
画面上には自分が欲しいと思ったデータが表示されている。でも、そこから「だからこうしよう」という一歩が出てこない。そんな思いを抱くことはありませんか?
実は、そのデータへの「問いかけ」の役割を生成AIに担ってもらうことができます。今回、紹介するのはGA4からデータをCSVでダウンロードし、それを生成AI(Claude)に読み込ませて分析する方法です。
💡本記事では私が普段使っているClaudeで解説しますが、GeminiやChatGPTなどほかの生成AIでも同様の分析が可能です。お使いのツールや、会社の導入状況に合わせて活用してみてください。
特別なツールもプログラミング知識も不要。初心者でも無料でできます。必要なのは、ちょっとした「問いかける技術」、つまりプロンプトの工夫だけです。
初めて試す方でも迷わないよう、データの取得方法からプロンプトの具体例まで、順を追って解説します。
- 【STEP1】GA4からデータをダウンロードする
- 【STEP2】Claudeに読み込ませる前に「文脈」を伝える
- 【STEP3】4つのデータで実践するプロンプト例
- 【STEP4】「掘り下げプロンプト」で気づきを深める
- 完璧じゃなくても、まずは始めてみよう!
【STEP1】GA4からデータをダウンロードする
まず、分析の素材となるデータをGA4から取り出します。「エクスポートって難しそう……」と感じるかもしれませんが、手順はとてもシンプルです。
基本的な操作手順
GA4の管理画面を開いたら、左メニューの「レポート」から分析したいレポート(例:集客 > トラフィック獲得)を開いてください。
画面右上に小さなダウンロードアイコンがあるので、そこをクリックして「CSV形式でダウンロード」を選択するだけです。

ダウンロードしたCSVファイルは、そのままClaudeに添付できます。Claudeの入力欄の左側にある添付ファイルアイコンから、ファイルを選択してアップロードしてください。

今回使うデータ
この記事では、以下の4種類のレポートを使って実践例を紹介します。
- 集客 > トラフィック獲得
- エンゲージメント > ページとスクリーン
- ユーザー属性 > ユーザー属性サマリー
- エンゲージメント > イベント名
すべて「レポート」セクションの中にあります。迷ったときは、GA4の左メニューを上から順に探してみてください。
【STEP2】Claudeに読み込ませる前に「文脈」を伝える
データをアップロードしたら、すぐに「分析して」と投げてしまいがちです。しかし、これには注意が必要です。
Claudeはとても優秀ですが、あなたのメディアのことは何も知りません。「このサイトが誰のために何を届けているメディアなのか」を伝えないと、的外れな分析が返ってくることがあります。これはClaudeが悪いわけではなく、コンテキスト(文脈)が足りないためです。
プロンプトの冒頭に、必ずこの「文脈」を入れるクセをつけてください。フォーマットはざっくりこんな感じで十分です。最初の1回だけ入れれば、同じチャット内では再度入れる必要がありません。
あなたはウェブ解析の専門家です。以下の情報を踏まえて、アップロードしたGA4のデータを分析してください。 わからないことがあれば都度確認してください。 【メディア概要】 ・メディア名:(例)〇〇コラム ・ターゲット読者:(例)30〜40代の中小企業の経営者 ・目的:(例)問い合わせ獲得 / ブランディング・運営歴:(例)2年、月間3万PV程度 この文脈を踏まえて、データから読み取れる重要な傾向と、改善のヒントを教えてください。
「専門家として分析して」という一文を入れると、Claudeの回答が一段シャープになります。
【STEP3】4つのデータで実践するプロンプト例
①流入元データ:どこからの読者が「本当に読んでくれているか」を知る
流入数だけを見ていると「オーガニック検索が一番多い!」で終わってしまいます。でも、流入元ごとのエンゲージメント率やキーイベント率を合わせて見ると、話が変わってくることがあります。
以下のプロンプトを使ってみてください。
添付のCSV(トラフィック獲得レポート)を分析してください。以下の観点で教えてください: 1. セッション数が多い上位5チャネルと、それぞれのエンゲージメント率とキーイベント率 2. 「セッション数は少ないが、エンゲージメント率が高い」チャネルはありますか? 3. 逆に「セッション数は多いが、エンゲージメント率が低い」チャネルで注意すべきものは? 4. このデータから、今後の集客戦略として考えられることを1〜2点教えてください
このプロンプトのポイントは「エンゲージメント率が高いのに見落とされているチャネル」を探させているところです。
SNSや参照元からのアクセスが少量でも質が高い、ということは珍しくありません。数字の裏にある「伸びしろ」を探す視点が生まれます。

②ページデータ:「読まれているページ」と「読まれていないページ」の違いを探る
ページレポートを使うと、コンテンツの棚卸しができます。単に閲覧数を並べるのではなく、「なぜ差があるのか」を一緒に考えてもらうのがコツです。
添付のCSV(ページとスクリーンレポート)を分析してください。以下を教えてください: 1. 閲覧数上位10ページのタイトルと閲覧数 2. 上位ページに共通するテーマや傾向はありますか? 3. 閲覧数が少ないにもかかわらず、エンゲージメント時間やscroll率が高いページはありますか? 4. 「このようなテーマの記事をもっと増やすと良さそう」という仮説を立ててください
「閲覧数が少ないけれど読了率が高い記事」は、ダイヤの原石です。まだ届いていないだけで、届けば読んでもらえる可能性が高い。そういう記事を見つけるだけでも、このプロンプトを使う価値があります。

▼過去記事のエンゲージメント率を高めるポイントはこちら
www.hatena.ne.jp
③ユーザー属性データ:読者像と「想定ターゲット」のズレを確認する
「40代の経営者に向けて書いているつもりだったのに、実際に来ているのは20代が多かった」というようなケースもあります。ユーザー属性データとプロンプトを組み合わせると、このズレを可視化できます。
添付のCSV(ユーザー属性レポート)を分析してください。 私たちのターゲット読者は「30〜40代の中小企業の経営者・マーケター」です。以下を教えてください: 1. 実際の年齢層・性別の分布 2. ターゲットと実際の読者にズレはありますか? 3. このデータをもとに、コンテンツ戦略や記事の書き方で変えるべき点があれば教えてください
ターゲットとのズレが見えたとき、次に「どう対応するか」まで聞けるのが生成AI活用の強みです。「ズレを埋める方向に修正する」のか「意外な読者層を積極的に取り込む」のか、方針の判断材料になります。

④コンバージョン・イベントデータ:「成果につながる行動」を起こしているのは誰か
問い合わせや資料ダウンロードなど、メディアとしての最終的なゴールに近い行動がコンバージョンです。
GA4では「イベント」レポートからCSVをダウンロードできます。設定済みのコンバージョンイベント(例:`generate_lead`、`form_submit`など)がある場合は、そのデータを使ってみてください。
以下のプロンプトを試してみましょう。
添付のCSV(イベントレポート)を分析してください。 私たちのメディアの主なコンバージョンは「問い合わせフォームの送信(イベント名はform_submitです)」です。 以下を教えてください: 1. コンバージョン数・コンバージョン率の全体傾向 2. コンバージョンに至ったセッションで多く発生しているイベント(スクロール、クリックなど)はありますか? 3. コンバージョンが少ない、または0に近い状況であれば、考えられる原因を教えてください 4. コンバージョン率を改善するために、まず確認すべき仮説を2〜3個挙げてください
コンバージョンが取れていないというケースもあるので、こちらもあわせて確認しています。
もしまだコンバージョン設定をしていないメディアであれば、まずGA4のイベントレポートを見て「どんな行動が多く起きているか」を確認するだけでもOKです。そのデータをClaudeに投げて「このメディアで設定すべきコンバージョンイベントの候補を教えて」と聞くのも、有効な使い方の一つです。

【STEP4】「掘り下げプロンプト」で気づきを深める
Claudeの回答が返ってきたら、そこで終わりにしないでください。もう少し掘り下げてみることで、分析の深さがぐっと変わります。
例えば、こんな追加プロンプトが有効です。
今の分析で「〇〇」という指摘がありましたが、もう少し具体的に教えてください。 特に、来月すぐに試せる施策として、優先度の高い順に3つ挙げてもらえますか? この結果を、Webサイトの担当者ではなく上司(経営者)に報告する場合、どのようにまとめると伝わりやすいでしょうか?
最初の回答はあくまで「出発点」です。そこから対話を重ねることで、自分のメディアに合った具体的なアクションが見えてきます。具体的なアクションが見えてくることが、生成AIを「分析ツール」として使う醍醐味だと私は思っています。
完璧じゃなくても、まずは始めてみよう!
今回ご紹介したのは、GA4のCSVをダウンロードしてClaudeに投げるというシンプルな方法です。難しい設定も専門知識も必要ありません。
大切なのは「文脈を伝えること」と「問いを立てること」の2点だけ。この2つを意識すれば気づきを発見できます。
まずは一つのレポートをダウンロードして、試してみてください。完璧なプロンプトでなくても大丈夫。あまり難しいことを考えずに、「なんとなく気になっていたこと」を素直に聞いてみることから始めてみてください。
データとの向き合い方が、きっと少し変わるはずです。
今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。
また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
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ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01








