
株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(
id:ryuka01)です。
先日、あるオウンドメディアの数字を眺めていたら、特徴的な流入の違いがありました。
SNSからの流入は全体の40%を占めていたにもかかわらず、ほとんどの人が1ページ見て帰っていく。一方で、生成AIサービス経由で来た人は全体のわずか数パーセントと数こそ少ないものの、平均で3ページ以上読んでいて、資料請求も発生していました。同じ「外からの流入」なのに、来る人の温度がまるで違ったのです。
このようにSNSから来る人と、ChatGPTやGeminiから来る人は同じように見えて、実は行動がかなり違います。
その違いを比較しやすくなったのが、2026年5月に行われたGA4のアップデートです。
今回は、このアップデートを入り口に、「SNS流入とAI流入では来る人の挙動がどう違うのか」「GA4でどう見比べればいいのか」を整理します。
合わせて、GA4だけだと追い切れない「AIクローラー」をどう見るか、という一歩進んだ話にも簡単に触れます。
- GA4の「AIアシスタント」チャネルとは
- SNSとAIでは来る人の「目的」が違う
- GA4の比較機能で実際に並べてみる
- GA4は「人」は追えても「クローラー」は追えない
- クローラーの動きを知りたいなら、AIに生ログを分析させる
- 「AIアシスタント」で解像度を上げよう
GA4の「AIアシスタント」チャネルとは
2026年5月13日、GoogleがGA4のデフォルトチャネルグループに「AIアシスタント(AI Assistant)」を追加しました。
これまでReferralやDirectに紛れていたChatGPTやGemini、Claudeといった生成AIの回答からリンクをたどって来た人が、Organic Searchなどと並ぶ専用のチャネルとしてまとまるようになっています(注:記事執筆時点は順次リリース中で全てのプロパティには反映されていません)。
なおGoogle検索のAI OverviewやAI Modeに関しては引き続き、Organic Searchに分類されたままで区別がつきません。
うれしいのは、こちら側で何も設定しなくていいこと。今まではAIからの流入を分けて見たければ、自分でカスタムチャネルグループを作って、AIサービスのドメインを正規表現で一つずつ登録するという地味な作業や定期的なアップデートが必要でした。その方法は本連載でも紹介しました。
▼GA4で「AI検索」を計測する方法はこちら
www.hatena.ne.jp
しかし、今後はチャネルグループにデフォルトで搭載され、GA4側で新しいドメインのアップデートなども行ってくれると思われます。

仕組みとしては、流入元の情報(リファラー)を見て、それがAIアシスタントのものだと判定されると、チャネルグループに「AI アシスタント」メディアに「ai-assistant」、キャンペーンに「(ai-assistant)」というラベルが自動で付きます。
難しく考えなくて大丈夫です。「集客」→「トラフィック獲得」を開いて、チャネルの一覧に「AI Assistant」があるか、まず確認してみてください。
SNSとAIでは来る人の「目的」が違う
早速「AI アシスタント」チャネルを使って、ユーザーの分析をしてみましょう。
SNSから来る人とAIから来る人。この二つは、Webサイトに着いたときの「気持ち」がそもそも違うケースが多いです。
SNSの流入は、どちらかというと偶発的なものです。
タイムラインを眺めていて、たまたま目に留まった見出しをタップする。だから勢いはあるけれど、長くは留まらない。冒頭に触れたメディアでも、SNS経由は流入数は多いのに、1セッションあたりのページ数は1.2前後、エンゲージメント時間も短めでした。投稿を見てちょっと話題の内容をチェックする感じです。
一方、AI経由で来る人は、たいてい何かを解決したくてやってきます。
ChatGPTに質問して、その答えの参照元として紹介されたリンクを踏む。つまり、すでに目的がはっきりした状態で着地している。だからページもよく読むし、関連記事やコンバージョンにも進みやすい。数は少なくても、一人ひとりが濃いんです。
もちろん、これはサイトのジャンルによって変わります。私が見ていたメディアはこうだったというだけで、皆さんのメディアでは逆の傾向が出るかもしれません。だからこそ、自分の数字で確かめることに意味があります。
GA4の比較機能で実際に並べてみる
では、どう見比べるか。手順はシンプルです。
GA4の標準レポート右上にある「比較データを編集」(もしくはレポート上の「比較の追加」)を使うと、条件の違うデータを横に並べられます。
ここで「デフォルトチャネルグループ=Organic Social」と「デフォルトチャネルグループ=AI Assistant」の二つを作成すれば、同じ画面で挙動を見比べられるようになります。


見るべき指標は4つです。
- 1. 平均エンゲージメント時間
- その人がどれだけ真剣にコンテンツと向き合ってくれたかの目安になります。SNSとAIでは差が出やすいので、最初に見る価値があります。
- 2. 1セッションあたりのページ数
- 読んだあとに別の記事へ進んだのか、回遊の深さが分かります。
- 3. キーイベント率とキーイベント数
- 最終的に成果へつながっているのはどの流入か。ここを明らかにすることが、経営層や上司への説明にいちばん効いてきます。
- 4. ランディングページ
- どういったページへの流入が多いかは、ユーザーのニーズを把握するのに最適です。役割が分かれば、SNSには拡散しやすい見出しを、AIには参照されやすい中身を、と打ち手も分けられます。同じ「流入を増やす」でも、やることが変わってくるわけです。
GA4は「人」は追えても「クローラー」は追えない
「AIアシスタント」チャネルは便利ですが、万能ではありません。注意点にも触れておきましょう。
判定がリファラー頼みなので、リファラーが付かない流入は、中身がAI経由でもDirectに紛れてしまいます。アプリで生成AIサービスを利用したり、URLをコピペして開いたりするケースですね。
だからこのチャネルの数字は「AI流入の全て」ではなく、「確実に取れている下限」として読むのが安全です。
そして、もう一つ根本的な話があります。GA4が数えているのは、基本的に「人間の訪問」です。GA4はページに埋め込んだJavaScriptが動いて初めてデータを送るので、JavaScriptを実行しない訪問者は、そもそも記録に残りません。
ここで問題になるのが、AIクローラーです。GPTBotやClaudeBot、PerplexityBotといった、AIが学習や回答づくりのために自動でページを読みに来るプログラム。これらの多くはJavaScriptを実行しないので、GA4にはほぼ姿を現しません。「AIアシスタント」チャネルにも当然出てきません(あくまで人間の流入を分けるものなので)。

つまりGA4で見えるのは、「AIの回答を読んで、人がうちに来た」という結果の、そのまた一部だけ。
「そもそもどのAIが、うちのどのページを、どれくらい読みに来ているのか」という手前の動きは、GA4の外側で起きています。ここを知りたい担当者、けっこう多いんじゃないかと思います。
クローラーの動きを知りたいなら、AIに生ログを分析させる
GA4で追えないクローラーの動きは、どこを見れば分かるのか。答えは、サーバーの「アクセスログ(生ログ)」です。
Webサーバーには、「誰が・いつ・どのURLに・どんな名前(ユーザーエージェント)でアクセスしてきたか」が1行ずつ記録されています。ここには、JavaScriptを実行しないクローラーの足跡も全部残っていて、GPTBotが昨日どのページを30回読んだか、みたいなことまで分かります。ただ、生ログは1日で何万行にもなることもザラです。
ここでAIの出番です。私は最近、Claude Code(コマンドラインで動くAnthropicのコーディング支援ツール)にアクセスログを渡して、集計をしてもらっています。
「このログから、AI系のクローラーごとにアクセス数を多い順で出して」とお願いすると、ユーザーエージェントを見分ける処理を書いて、一気に表にしてくれる。どのAIが、どのページに、どれくらい来ているかが数分で形になります。


GA4で人の流入を見て、生ログ+AIでクローラーの動きを見る。この二段構えで、ようやくAI時代の流入を表と裏の両方から眺められます。
ここは私もまだ試行錯誤の途中なので、いい集計の切り口が見つかったら、また別の記事で共有しますね。
「AIアシスタント」で解像度を上げよう
SNSもAIも、同じ「外からの流入」でひとくくりにすると、それぞれの良さを見落とします。
SNSは人を連れてくる入口、AIは目的を持った人が降り立つ入口。役割が違えば、見るべき数字も、打つ手も変わってきます。
まずはGA4の「集客」→「トラフィック獲得」を開いて、「AI Assistant」の行があるか見てみてください。ない場合は反映されるのを待ちつつ、すぐ見たい場合は以前紹介した記事を参考にしてみてください。
そして比較機能で並べてみる。それだけで、自分のメディアに今どんな人が来ているのか、解像度がぐっと上がります。
正直なところ、AI流入の計測まわりはまだ発展途上で、半年後にはまた景色が変わっていると思います。でも、変わるからこそ、今の自社メディアの数字を一度きちんと見ておくことに意味があります。
毎日5分でいいのでGA4を確認してみましょう!
今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。
また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
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ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01








