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株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

オウンドメディアを運営していて、ふとした瞬間に「うちのメディア、他社と比べてどうなんだろう?」という疑問が頭をよぎることはないでしょうか。

例えば「月間10万PV」。数字だけ見れば悪くないように思えます。でも、同じ業界の他社メディアの平均が月間30万PVだったとしたら物足りません。逆に、平均が月間5万PVなら、自社は相当健闘していることになりますよね。

これまで、こうした「相対的な立ち位置」を知る手段は限られていました。SEOの検索順位、はてなブックマーク数、あるいはSimilarWeb(Webサイトのアクセス状況や競合分析ができる)のような外部ツール。どれも参考にはなりますが、自社のGA4データと同じ土俵で比較できるものではありませんでした。

そんな中、2024年5月にGA4に「ベンチマーク機能」が追加されました。今回は登場から1年以上が経過し、データも蓄積されてきた今、あらためてこの機能の使い方と活用法を整理してみたいと思います。

ベンチマーク機能とは?「業界の中での自分の位置」が分かる

ベンチマーク機能はGA4のホーム画面から確認できる

GA4のベンチマーク機能を一言で説明すると、「自社のデータを同業他社と比較できる機能」です。

Googleは膨大な数のGA4プロパティからデータを収集しており、それを業種ごとに匿名化・集計しています。この集計データと自社の数値を並べて見ることで、「業界の中で自分がどの位置にいるのか」が分かるわけです。

面白いのは、単純な「平均値」との比較ではなく、「パーセンタイル」で表示される点です。

パーセンタイルとは、データを小さい順に並べたときに、自分が全体の中でどの位置にいるかを示す指標。例えば「75パーセンタイル」であれば、下から数えて75%の位置にあり、上位25%に入っている、ということになります。逆に「25パーセンタイル」であれば、下から25%の位置にある=全体の中で下位に位置しているという意味合いになります。

この考え方は、マラソンの順位に似ていますよね。5時間で完走したとき、「速いのか遅いのか」は参加者全体の中での順位を見ないとわからない。ベンチマーク機能は、まさにその「順位表」を見せてくれる機能です。

ベンチマーク機能を利用するための事前設定

ベンチマーク機能を使うためには、事前に一つだけ設定を確認しておく必要があります。

GA4の管理画面を開いて、「アカウント設定」→「アカウントの詳細」と進んでください。そこに「モデリングのためのデータ提供とビジネス分析情報」という項目があります。

この設定がオフになっていると、ベンチマークデータが表示されません。オンにすることで、Googleに匿名化されたデータを提供する代わりに、業界のベンチマークデータを受け取れるようになります。

この設定をオンにしないとベンチマークデータは表示されない

ちなみに、この設定を有効にしても、個別のプロパティデータが外部に公開されることはありません。あくまで匿名化・集計されたデータとして利用されるだけですので、ご安心ください。

ベンチマーク機能の使い方

設定が完了したら、GA4のホーム画面に移動します。

ホーム画面で一番上に表示されているレポートでベンチマーク機能を利用できます。

指標の右側にある「▼」をクリックすると、プルダウンメニューが表示され、ベンチマーク対応の指標を選択できます。

プルダウンからベンチマーク対応の指標を選択できる。赤枠がベンチマーク機能のアイコン

指標を選んだ後、グラフの右上にあるアイコン(※上図の赤枠)をクリックすると、ベンチマークの詳細パネルが開きます。詳細パネルには、以下の情報が表示されます。

「ベンチマーク対象の同業他社グループ」は自動で設定されていますが、実際の業種と異なる場合は変更が可能です。Googleは1,600以上の業種カテゴリを用意しており、「ショッピング」「テクノロジー」「ニュース・メディア」など、かなり細かく選択できます。

1,600以上の業種から自社に最も近いカテゴリを選択できる

オウンドメディアの場合、「ニュース」や「ビジネス・産業」あたりが候補になるかもしれません。ただし、自社のビジネス領域に合わせて「テクノロジー」や「マーケティング」を選ぶのもアリです。どの業種を選ぶかで比較対象が変わるので、いくつか試してみることをおすすめします。

確認できる主な指標と見方

ベンチマーク機能で比較できる指標は複数ありますが、オウンドメディア運営者にとって特に注目したい指標をピックアップしてみます。

  • エンゲージメント率
    • 訪問者がどれだけ真剣にコンテンツと向き合ってくれたかを示す指標です。具体的には「エンゲージメントのあったセッション数÷総セッション数」で計算されます。この数値が業界の75パーセンタイルを上回っていれば、コンテンツの質に自信を持っていいでしょう。
  • 平均セッション継続時間
    • ユーザーが1回の訪問で滞在した時間が分かります。コンテンツをしっかり読んでくれているかを確認することが可能です。
  • アクティブユーザーあたりのビュー数、セッションあたりのページビュー数
    • これらも見逃せない指標です。1人のユーザーあるいはセッションが平均して何ページ見てくれているか。この数値が高ければ、サイト内の導線設計がうまくいっている証拠です。
  • アクティブユーザーあたりのセッション数
    • ユーザーあたりの平均訪問回数を表しており、定期的に見に来てくれているかを判明させることができる大切な指標です
自社の数値が業界のどの位置にあるかが一目で分かる

データを見るときのポイントは、単に「高い・低い」で一喜一憂しないことです。流入元やサイトの性質によって適正値は異なるため、中央値を下回っていたとしても、直ちに「悪い」とは限りません。

大切なのは、定点観測を続けて自社の変化を追うこと。そして、「なぜこの数値なのか」を考えることです。

オウンドメディアでの具体的な活用シーン

ベンチマーク機能を実務ではどう活かせばいいのでしょうか。いくつかのシーンを想定してみます。

  • 1. 施策の成果を客観的に評価する

「記事のリライトを頑張ったけど、効果あったのかな?」という場面。エンゲージメント率が25パーセンタイルから50パーセンタイルに上がっていれば、それは明確な成果です。社内への報告時にも「業界平均に追いついた」と説明できれば、説得力が増しますよね。

  • 2. KPI設定の根拠にする

「エンゲージメント率の目標をどこに置くべきか」で悩んだことはありませんか? ベンチマークデータがあれば、「まずは業界中央値を目指そう」「75パーセンタイルを目標にしよう」といった根拠ある目標設定が可能になります。

  • 3. 経営層への説明材料にする

オウンドメディアの価値を経営層に伝えるのは、なかなか難しいテーマです。でも、「うちのメディアは業界上位25%に入っている」と言えれば、数字の持つ意味がぐっと伝わりやすくなります。

ベンチマーク機能を使用する際の注意点

とはいえ、この機能にも限界はあります。

まず、比較対象はあくまで「同じ業種カテゴリに属するGA4プロパティの集計値」です。自社と同規模のメディアだけを比較しているわけではありません。月間100万PVの大手メディアと、立ち上げたばかりで月間数万PVの小規模メディアが同じ土俵で集計されている可能性もあります。

また、ベンチマークデータは「概要カード」上でしか確認できず、詳細なセグメント分析には対応していません。例えば「スマートフォン経由のエンゲージメント率だけを業界と比較する」といったことは難しいのが現状です。

そして、データは24時間ごとに更新されますが、「今日」のデータは利用できません。「直近の動きをリアルタイムで比較したい」という用途には向いていないことも覚えておいてください。

同業他社と比較する手段の一つとして活用しよう

GA4のベンチマーク機能は、登場から1年以上が経ち、着実にデータの精度と実用性が高まってきています

私自身、この機能を使い始めてから「うちは意外とエンゲージメント率が高いんだな」と気付いた経験があります。それまでは漠然と「まだまだだ」と思っていたのですが、客観的な数字を見て、少し自信が持てるようになりました。

もちろん、この機能だけで全てがわかるわけではありません。でも、「自分たちの立ち位置を知る」ための一つの手段として、とても役立つ機能だと思います。

まだ設定をしていない方は、まずは「モデリングのためのデータ提供とビジネス分析情報」をオンにするところから始めてみてください。有用な比較材料が見つかるでしょう。

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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。

また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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Google アナリティクス4(GA4)の基本的な考え方や、はてなブログ管理画面での設定方法、オウンドメディア担当者が見るべきデータなどについて、ウェブアナリストの小川卓様に解説いただいています。具体的な活用方法もまとまっているので、GA4に興味はあるけれど使い方が分からない方にもおすすめの資料となっています。

著者:小川卓
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01

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