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株式会社HAPPY ANALYTICS小川卓id:ryuka01)です。

オウンドメディアを運用していると、どうしても「新しい記事」に目が向きがちになりますよね。私自身、これまで多くの企業のオウンドメディア運用をサポートしてきましたが、担当者の方々とお話しすると「今月は何本記事を出せるか」「次はどんなテーマで書こうか」といった“攻め”の話題が中心になります。

とはいえ、忘れてはいけないのが、皆さんのメディアでこれまで積み上げてきた「過去記事」という貴重な資産です。中には公開から1年、2年と経過しているものもあるでしょう。

実は、こうした過去記事を見直して改善することで、新規記事を1本書くよりも大きな成果が得られるケースも少なくありません

ただ、実際に「過去記事を改善しよう」と思い立っても、多くの方が壁にぶつかります。「検索流入が多い記事は何となく手直しした方がいいのは分かるけど、それ以外は?」「エンゲージメント率って聞くけど、具体的に何をどう見ればいいの?」などがその例です。

そこで本記事では、Google Analytics 4(以下、「GA4」)を使って過去記事のエンゲージメント率を高めるための分析ポイントをご紹介します。「何を見ればよいのか」「どう改善につなげればよいのか」という疑問に、できるだけ実践的にお答えしていきたいと思います。

そもそも、なぜ「エンゲージメント率」に注目すべきなのか

エンゲージメント率の話をする前に、少しだけ私の経験をお話しさせてください。

以前、ある企業のオウンドメディアで面白い現象を目にしました。検索流入数ではトップ10に入らない記事が、実はコンバージョン(CV:問い合わせや資料請求)に最も貢献していたのです。

その記事の月間ページビュー数は1,000程度で決して多くはありません。でも、訪問者の滞在時間が長く、他のページへの回遊率も高く、最終的に成果につながっていました。これは、まさにエンゲージメントの力なんです。

今回解説するGA4におけるエンゲージメント率とは、簡単に言えば「訪問者がどれだけ真剣にコンテンツと向き合ってくれたか」を示す指標です。具体的には、

  • 10秒以上の滞在
  • 2ページ以上の閲覧
  • コンバージョンイベントの発生

のいずれかを満たすセッションの割合を指します。

集客数だけを追いかけていると、こうした「質の高い訪問」を見逃してしまいがちです。

特にオウンドメディアの場合、最終的なゴールは「ファンを増やすこと」「信頼を獲得すること」「ビジネスに貢献すること」であって、単なるページビュー数ではないはずですよね。だからこそ、エンゲージメント率に注目すべきなのです。

GA4で確認すべきエンゲージメント関連指標

それでは、具体的にGA4でどんな指標を見ていけばいいのでしょうか。ここでは、過去記事の分析で特に重要な指標を4つピックアップしてご紹介します。

GA4を使って、記事ごとのエンゲージメント関連指標を確認していきましょう。

1. エンゲージメント率

基本中の基本です。GA4の「ページとスクリーン」レポートなどで確認できます(※標準で表示されていない場合は、レポートのカスタマイズで指標を追加しましょう)。

一般的に、オウンドメディアの記事では60%以上あれば合格ライン、70%を超えていれば優秀と言えるでしょう(もちろん業界や記事の性質によって変わります)。

ただし、数字だけ見て一喜一憂するのは意味がありません。大切なのは「なぜその数字になっているのか」を考えることです。

2. 平均エンゲージメント時間

訪問者が実際にどれくらいの時間、その記事に没頭してくれたかを示す指標です。

私はこれを重要な指標だと感じており、特に時間が短い記事は注意が必要です。

例えば3,000文字の記事なら、一般的な読者は3〜5分程度で読み終えるはずです。でも平均エンゲージメント時間が30秒しかなかったら? それはつまり「記事が読まれていない」ということ。

逆に8分も10分もあったら? じっくり読み込まれているか、何度も読み返されている可能性があります。

3. セッションあたりのページビュー数(回遊率)

記事を読んだ後に、他のページも見てくれたかどうかを表す指標です。

GA4の標準レポートでは「アクティブユーザーあたりのビュー」が表示されていることが多いですが、回遊率を見るには「セッションあたりのビュー数」を確認します(※表示されていない場合は「レポートをカスタマイズ」から指標を追加してください)。

1.5以上あれば、サイト内での回遊が比較的うまくいっており、別のページにも興味を持ってくれている読者が多い状態と言えるでしょう。

私の感覚では、この数字が高い記事は「入り口記事」として優秀です。つまり、そこから読者をメディア全体に誘導できる力を持っているんですね。

4. コンバージョン率(CVR)

問い合わせ、資料請求、メルマガ登録など、設定したコンバージョンにつながった割合です。オウンドメディアの最終目的がビジネス貢献である以上、この指標は外せません。

面白いのは、検索流入数とコンバージョン率が必ずしも比例しないこと。むしろニッチなテーマで流入は少なくても、悩みが深い読者が訪れる記事の方がCVRが高いケースもよくあります。

コンバージョン率は「ページとスクリーン」のレポートでは確認できません。「ランディングページ」のレポートを利用しましょう。

過去記事のポテンシャルを見極めるポイント

さて、指標の話をしたところで、ここからが本題です。実際に過去記事を改善していくには、「どの記事に手を入れるべきか」を見極める必要があります

まずは、レポートのフィルタ機能を使って過去記事に絞り込みましょう。はてなブログで初期設定の場合は、日付情報が公開されているURLに入っています。

例)/article/2025/10/28/103000

2024年の記事だけを抽出したい場合は、レポートの検索ボックスに「2024」と入れて絞り込めばOKです。

リストができたらデータをダウンロードしてGoogleシートやエクセルでグループ分けを行ってみましょう。記事を「流入数」と「エンゲージメント率」の2軸で4つのグループに分けてみてください。

  • A群:流入多×エンゲージメント高 → 優等生。さらに伸ばせないか考える
  • B群:流入多×エンゲージメント低 → もったいない記事。改善の優先度が高い
  • C群:流入少×エンゲージメント高 → 隠れた良記事。流入を増やせれば化ける
  • D群:流入少×エンゲージメント低 → 残念ながら優先度は低め

エクセルやスプレッドシートに落とし込んで分類してみると、意外な発見があるものです。「この記事、アクセス数は多いけど全然読まれてないじゃん!」とか、逆に「この記事、地味だけどめちゃくちゃ評価高いな」とか。

さらに考えるべきは、改善による「インパクト」です。

例えば月間10,000PVでエンゲージメント率40%の記事があったとします。エンゲージしてくれる訪問者は4,000人です。これをエンゲージメント率60%に改善できれば、エンゲージしてくれる訪問者は6,000人で2,000人増える計算になりますよね。

一方、月間100PVで同じくエンゲージメント率40%の記事を60%に改善しても、エンゲージしてくれる訪問者は40人→60人。増えるのはわずか20人です。

改善のインパクトを考えると、当然優先すべきは前者になるでしょう。

もちろん、改善の「難易度」も考慮する必要があります。「導入文を少し直すだけで改善できそうな記事」と、「構成から根本的に見直さなければいけない記事」では、かかる工数が全然違ってきます。

具体的な改善アクションをケース別に考える

では、ここからは具体的な改善施策の考え方を見てみましょう。

【ケース1】流入は多いのにエンゲージメント率が低い記事

せっかく多くの人が訪れてくれているのに、すぐに離脱されている状態の「もったいない」パターンです。私の経験上、原因は大きく3つに分かれます。

  • 原因①:導入部分で期待を裏切っている

検索してきた人が求めている情報と、記事の内容にズレがあるケース。

タイトルやディスクリプションで期待値を上げすぎていないか、確認してみてください。もしくは、導入文で「この記事では〇〇について解説します」と明確に宣言することで、ミスマッチを防げます。

  • 原因②:記事の冒頭がつまらない

厳しい言い方ですが、最初の3行で読者を引き込めないと、そこで終わりです。

最初の段落で「なぜこの記事を読むべきか」を示せていますか? あらためて見直してみましょう。

  • 原因③:読みづらい・分かりにくい

文章が長過ぎる、専門用語だらけ、見出しがない、改行がない……。

こういう記事、意外と多いんですよね。スマホで見たときにどう見えるかも、ぜひチェックしてみてください。

【ケース2】エンゲージメント率は高いのに流入が少ない記事

これは「ダイヤの原石」、磨けば光るタイプの記事ですね。

まず確認すべきは、そもそも検索されるキーワードで上位表示されているかどうか。Search Consoleで表示回数や順位を見てみましょう。もし検索結果に表示すらされていないなら、SEO的な改善が必要かもしれません。

タイトルに適切なキーワードが入っているか、見出しの構成は検索意図に合っているか、内部リンクで他の記事からちゃんと導線があるか。こうした基本的なSEO対策を施すだけで、流入が劇的に増えることもあります。

また、エンゲージメントが高い記事は、読んだ人が「これ、良い記事だな」と思ってくれている証拠ですから、積極的に露出を増やす価値があります。SNSでのシェアやメールマガジンでの紹介など、検索以外の流入経路を作ることも効果的です。

【ケース3】平均エンゲージメント時間は長いのに回遊率が低い記事

記事自体はしっかり読まれているのに、その後メディア内のどこにも行かずに帰ってしまう。これもよくあるパターンです。

一番シンプルな対策は、記事内に関連記事へのリンクを適切に配置することです。「この記事を読んだ人は、きっとこっちの記事にも興味があるはず」という視点で、自然な流れでリンクを挿入してみてください。

記事の終わりに「次のステップ」を提示するのも効果的です。「この記事で基礎を学んだら、次は実践編を読んでみましょう」といった感じですね。読者を次の行動に誘導する、小さな道しるべを置いてあげるイメージです。

【ケース4】特定のセクションで離脱が多い記事

GA4の拡張計測機能やスクロール追跡を設定していれば、記事のどのあたりで読者が離脱しているかを把握できます。

もし記事の途中で急激に離脱が増えているなら、そこに何か問題があるはずです。内容が難しくなり過ぎている、関係ない話に脱線している、長過ぎて飽きられている……。原因を特定して、その部分を重点的に改善しましょう。

逆に、最後まで読まれているのにコンバージョンにつながっていない場合は、CTA(行動喚起)の位置や文言を見直す必要があるかもしれません。

実施後のチェックを忘れずに

過去記事の改善施策をしたあとはチェックを必ず行いましょう。

私がおすすめするのは、改善前の1カ月間と改善後の1カ月間を比較する方法です。

エンゲージメント率だけでなく、平均エンゲージメント時間、回遊率、コンバージョン率など、「エンゲージメント関連指標」で紹介した複数の指標を見ていきましょう。

そして、これが大事なポイントなのですが、改善してあまり変化がなかった場合でもそれは「失敗」ではありません。「その仮説(施策)では効果が見られなかった」という気づきが得られたとも言えます。また違った仮説を試してさらに気づき発見、そして願わくは改善をしていきましょう。

まとめ:過去記事改善は「長距離走」。まずは2軸での分類から

過去記事の改善には「絶対的な答え」があるわけではありません。しかし、今回の記事を読んだなら、少なくとも「何から手をつけていいか分からない」という状態からは抜け出せるはずです。

オウンドメディアの運用は、マラソンに似ています。新規記事をどんどん出すのは短距離走のようなスピード感がありますが、過去記事を磨き上げていくのは長距離走。地味ですが、確実に成果は積み上がっていきます。

まずは自社メディアの記事を、「流入数」と「エンゲージメント率」の2軸で分類してみることから始めてみてください。きっと、今まで気付かなかった「お宝記事」が見つかるはずです。

そして改善を重ねていく中で、「うちのメディアの読者は、こういう記事を求めているんだな」という理解も深まっていくでしょう。それが、新規記事のクオリティ向上にもつながっていきます。

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今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。

また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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Google アナリティクス4(GA4)解説資料

Google アナリティクス4(GA4)の基本的な考え方や、はてなブログ管理画面での設定方法、オウンドメディア担当者が見るべきデータなどについて、ウェブアナリストの小川卓様に解説いただいています。具体的な活用方法もまとまっているので、GA4に興味はあるけれど使い方が分からない方にもおすすめの資料となっています。

著者:小川卓
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01

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