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株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓 (id:ryuka01)です。

この連載では2026年5月に生成AI活用法の初級編として「【GA4×生成AI活用法】データから分析の「気づき」を引き出す4ステップ」を紹介しました。GA4のレポートをCSVでダウンロードしてClaudeに読み込ませ、文脈を添えたプロンプトで「気づき」を引き出す方法です。

先日、その方法を試したメディア担当者の方から、こんな感想をいただきました。「便利なんですが、毎月CSVを落とすのが地味に大変で……」。気持ちはよく分かります。レポートを開いてCSVを書き出し、AIに渡す。期間や切り口を変えたくなったら、またGA4の画面で最初からやり直す必要があります。

MCP(Model Context Protocol)を使うと、この往復がなくなります。MCPとはAIと外部ツールをつなぐための共通の仕組みで、GA4向けのMCPサーバーも公開されています。一度つないでおけば、AIが自分でGA4のデータを取りに行ってくれるわけです。

ただ、つないだだけで分析がうまくいくほど単純ではありません。「何をどう聞くか」で、返ってくるものがまるで変わります。

中級編の第1回である今回は、GA4データの取得と整理を紹介します。AIに答えを出させるのではなく、人間が判断しやすい材料をそろえることに集中します。

まだMCPに接続していない方へ

接続の手順は、私が運営しているGA4の学習サイト「ga4.guide」で画像付きで解説しています。まだの方は、先にこちらで接続を済ませてください。

これから始めるなら、Claude Desktopでの接続がおすすめです。GA4 MCP Server Claude Desktop接続手順の通りに進めれば、エンジニアでなくても設定できます。GA4側の仕様変更があった際も、記事を更新して対応しています。

普段ChatGPTを使っている方はChatGPT接続手順をどうぞ。Claude Desktopより少し手間がかかります。迷ったら、4つの接続方法を比較したこちらの記事も参考にしてください。

MCPとつながったら、まず「昨日の表示回数とアクティブユーザー数を教えて」と聞いてみてください。GA4の画面とほぼ同じ数字が返ってくれば準備完了です。

これから始めるならClaude Desktopを
これから始めるならClaude Desktopを

MCPを使った分析:3段階のワークフロー

MCPでつなぐと、AIはGA4のレポートを自分で組み立てて取得してきます。今回紹介するプロンプトはどれもデータを読むだけなので、GA4の設定が変わる心配はありません。

CSVのときは、どのデータを渡すかを人間が決めていました。MCPでは、そこもAIが選びます。こちらが指定しなければ、期間も指標も「それっぽく」選び、「それっぽい」結論まで出してくる。手間が減る分、指示の出し方がより大事になるわけです。

私が実務で使っている流れは3段階です。

  • 1. 前提を渡す:サイトの目的、主要なページ群、重視しているイベントを伝えます
  • 2. データを取得させ、表に整理させる:ここはAIの担当です
  • 3. 表を見て人間が判断し、次の問いを返す:ここは人間の仕事です
3段階のワークフロー
3段階のワークフロー

最初に「前提メモ」を渡しておく

初級編でお伝えした「最初に文脈を伝える」は、MCPでもそのまま使えます(メディアの概要やターゲット、目的をプロンプトの冒頭に書く、という型でした)。

MCPではこれに、プロパティIDやイベント名、ディレクトリ構成まで加えておきます。AIがデータを取りに行くときの手がかりになるからです。

このGA4プロパティ(ID:123456789)はBtoB向けのオウンドメディアです。

目的は資料ダウンロード(file_download)と問い合わせ(generate_lead)の獲得です。

記事は /column/ 配下、サービス紹介は /service/ 配下にあります。

以降の分析はこの前提をふまえて行ってください。

毎回貼り付けるのが面倒なら、Claudeのプロジェクト機能などに保存しておくと楽です。私自身、ga4.guideの分析では、サイトの位置付けや「Directチャネルにはボットが多いので原則除外」といった注意書きをまとめたメモを使い回しています。

活用例1:主要導線を整理する

まずは「どのページが、どれだけ働いているか」の棚卸しです。

初級編では「閲覧数は少ないのに読まれている記事」を探しましたが、今回はその逆側、よく見られているのに読まれていない(エンゲージメント率が低い)ページに目を向けます。

過去28日間で表示回数の多い上位20ページを取得してください。

表示回数、エンゲージメント率、平均エンゲージメント時間、キーイベント数を表にまとめ、
表示回数が多いのにエンゲージメント率が全体平均より10ポイント以上低いページに印をつけてください。

結論や改善案はまだ不要です。

最後の一文が効きます。改善案を求めると、AIは表よりも提案のほうを長く書き始めるんです。材料を見る前に案だけ並べても、判断のしようがありません。

補足を一つ。GA4の探索レポートで見ている指標が、API経由では同じ名前で取れないことがあります。離脱の傾向を見たいときは「取得できる指標のうち、代わりになるものを提案して」と聞いてみてください。使える指標を確認した上で候補を出してくれます。

表示回数上位ページのイメージ
表示回数上位ページのイメージ

主要イベントの動きも同じ要領で見られます。

file_downloadとgenerate_leadの件数を週ごとに、過去12週分並べて。前週比で20%以上動いた週に印をつけて。

これだけで、月次の定例資料に貼る表のベースが出来上がります。

活用例2:新規とリピーターの「差」を見つける

次は新規ユーザーとリピーターの比較です。

過去90日間について、新規ユーザーとリピーターを比較してください。

流入チャネル別にセッション数、エンゲージメント率、キーイベント率を並べた表を作り、
両者の差が大きい項目を上位5つまで、差を数字で示してください。

例えば、自然検索経由の新規ユーザーのキーイベント率が0.3%、リピーターが2.1%だったとします。7倍の差。GA4の画面で見つけるには何度もクリックが必要でしたが、1回の依頼で並んで出てきます。

新規ユーザーとリピーターの比較イメージ
新規ユーザーとリピーターの比較イメージ

ただし、AIが見つけるのは「差」まで。なぜ差が生まれたのかは、コンテンツや過去の施策を知っている担当者にしか判断できません。

ここで人間が次の問いを返します。

新規の自然検索で、ランディングページ別にキーイベント率を出して。

初級編で紹介した「掘り下げプロンプト」と同じ発想ですが、MCPなら新しいCSVを用意しなくても、その場でデータを取り直してくれます。この差は大きいです。

注意点:AIの数字をうのみにしない

MCP接続の場合もAIが出してきた数字をうのみにしないようにしましょう。

私はプロンプトの末尾に、

取得に使ったディメンション、指標、期間、フィルタと、各指標の定義をひと言添えてください。

と最初の分析を行う際に加えています。

以前、AIがまとめた表に「直帰率35%」とあり、コメント欄には「訪問者の約3人に1人が1ページだけ見て離脱しています」と書かれていました。もっともらしいですよね。

でも、GA4の直帰率はエンゲージメントのなかったセッションの割合です。1ページしか見ていなくても、10秒以上とどまればエンゲージメントありとみなされ、直帰には数えられません。1ページだけで終わったセッションを数え直すと、6割近くありました。35%と約60%。報告資料にそのまま載せていたら、まったく違う話になるところでした。

UA(Universal Analytics、GA4の1世代前のGoogleアナリティクス)時代の定義と混同しやすい指標は意外と多いもの。定義を書かせておけば、読む側がすぐに気付けます。

指標の定義を書かせるのがポイント
指標の定義を書かせるのがポイント

「数字を見て考える」ために時間を充てる

MCPでGA4とAIをつなぐと、データを「取りに行く」時間はほぼゼロになります。その分、数字を見て考える時間に回せる。これが一番の変化だと感じています。

次回は、今回整理したデータをもとに、読了率の低い記事などの改善案の「たたき台」をAIに出させる方法を解説します。

まずは前提メモを一つ書いて、活用例1のプロンプトを自分のサイトで試してみてください。一度この速さを体験すると、CSVの時代にはちょっと戻れないと思います。

* *

今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。

また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。

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著者:小川卓
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01

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