
株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓 (
id:ryuka01)です。
安定したページビュー数があって検索エンジンからの流入も増えている。しかし、本来の目的であるビジネスには繋がっていない。メディアとしてみれば数値は順調なはずなのに、なぜか手応えがない――という相談を受ける機会がよくあります。
そんなとき、私が「毎月来てくれているユーザーって、どのくらいいますか?」と問いかけると、決まって「調べたことがないです」という答えが返ってくるんです。
PVを目標に置いてメディアを運営していると、とにかくPVを増やすことだけを考えてしまいます。「記事に満足しているのか」「コンテンツは役立っているのか?」といったことを忘れがちです。しかし、オウンドメディアが中長期的に果たすべき役割を考えたとき、本当に大切なのは「何度も戻ってくる読者」、つまり“ファンが育っているかどうか”ではないでしょうか。
メディア運営が軌道に乗り始める1年目くらいのタイミングは、ちょうどこの問いと向き合うべき時期です。今回は、GA4を使ってリピートユーザーや継続ユーザーを可視化する方法と、その数字をどう読み解くかの実務的な視点をお伝えします。
- 「PV=ファン」ではない。なぜリピートユーザーに注目するのか
- GA4で「リピーター」を確認する2つの方法
- 数字をどう読むか。健全なリピート率の目安
- 連載、定期更新……リピーターが増えるコンテンツの共通点
- GA分析で「ファンを育てる」第一歩を
「PV=ファン」ではない。なぜリピートユーザーに注目するのか
月間1万PVのオウンドメディアがあるとします。そのうちの9,500PVが「一度だけ訪れた新規ユーザー」だとしたら、どうでしょうか。
一方、同じ1万PVでも、そのうち3,000PVが「毎週欠かさず読みにくる常連読者」だとしたら、どうでしょうか。
1万PVという数字は同じでも、メディアとしての「強さ」はまったく違います。前者はSEOやSNSの波に乗った一時的なアクセスに依存しており、検索順位が下がれば一気に数字が落ちます。後者は、習慣的に読んでくれる読者という「基盤」があるため、少々アルゴリズムが変わっても揺らぎにくい。
私はオウンドメディアの数値を見るときには「メディアの体力」を大切にしています。PVはその瞬間の「熱しやすく冷めやすい体温」に過ぎません。でもリピートユーザーは、メディアが本来持っている「体の丈夫さ(健康)」そのものです。
オウンドメディアの目的がブランド認知や見込み顧客との長期的な関係構築にあるなら、一度だけ訪れた1,000人よりも、10回読んでくれた100人のほうがはるかに価値があるわけですから、リピートユーザーの数と比率を定期的に確認することは欠かせません。


GA4で「リピーター」を確認する2つの方法
では実際に、GA4でどう確認すれば良いのか? 2つのアプローチを紹介します。
方法①:新規ユーザーとリピーターの比率を見る
まず手軽に確認できる方法から。GA4の標準レポートで、新規ユーザーとリピーターの比率を見ることができます。
確認の手順は次のとおりです。
- GA4の左メニューから「レポート」を開く
- 「レポートのスナップショット」で数値を確認し計算する
ここで「リピーター」の割合を確認しましょう。数値の見方については後述しますが、まずはこの数字を把握することが出発点です。

方法②:コホートデータ探索を使う
もう少し深く分析したい場合は、GA4の「探索」機能に含まれる「コホートデータ探索」が非常に役立ちます。
このレポートで確認できるのは、「最初に訪問したユーザーが、その後どのくらいの割合で戻ってきているか」という推移です。例えば、ある週に初めてサイトを訪れた100人のうち、翌週にも戻ってきたのは何人か、さらにその翌週は何人かという形で、コホート(同じ期間に初訪問したユーザーのグループ)ごとに可視化されます。
確認の手順は次のとおりです。
- GA4の左メニューから「探索」を開く
- テンプレート一覧から「コホートデータ探索」を選択
- 設定内の最下部にある「指標のタイプ」を「コホート ユーザーあたり」に変更

具体的に見ていきましょう。「週 0」は、行に記載されている期間に来た人を100%としているので100%となり、その横の列は100%のうち、何%が翌週戻ってきたかを反映しています。
例えば3行目は1月11日~1月17日に初回接触した822,387人のうち、9.0%が翌週戻ってきていることが分かります。
見るポイントは、まず翌週や翌々週の継続率が高いコホートを特定することです。その上で「流入元」や「閲覧記事」を比較して原因を探り、数週間後に定着するリピーターの割合が何%程度で落ち着くかをチェックしましょう。
これらの%を増やすことが、安定的なPVとともにファンを増加させることになります。
数字をどう読むか。健全なリピート率の目安
レポートを開いてみた。でもこの数字、良いの? 悪いの?
多くの担当者が感じる疑問だと思います。正直に言うと、リピーター比率に「これが正解」という絶対値はありません。業種、メディアの目的、コンテンツの種類によって、妥当な水準はかなり変わります。
ざっくりとした目安としては、オウンドメディアではリピーター比率が20〜40%程度のケースが多いように感じています。新規ユーザーをコンスタントに獲得しながら、その一部がファン化していく、という健全なサイクルが回っている状態のイメージです。
さて、自分の数字が出たとして、どう評価するか。参考になるのは2つの比較軸です。
比較軸①:自社の過去データとの比較
「先月より上がったか、下がったか」。絶対値よりも、トレンドが重要です。GA4でカレンダーの期間比較を使い、前月比・前年同月比を確認するクセをつけましょう。
▼GA4の「期間比較」と「メモ機能」の活用法はこちら
www.hatena.ne.jp
比較軸②:GA4のベンチマーク機能との比較
GA4には同業他社・類似サービスの匿名データをもとにした業界ベンチマークを確認できる機能があります。自社の数値が業界水準と比べてどこに位置するかを把握するには、この機能の活用もおすすめです。
ホーム画面の左上のグラフのプルダウンを押して「ユーザー > リピーター率」や「ユーザー > リピート数」を確認してみましょう。


▼GA4の「ベンチマーク機能」活用法はこちら
www.hatena.ne.jp
連載、定期更新……リピーターが増えるコンテンツの共通点
分析で終わらせず、「じゃあ、リピーターを増やすために何をすればいいか」ということも考えていきましょう。
リピーターが多いオウンドメディアのコンテンツには、いくつかの共通点があります。
例えば、
- 連載形式やシリーズもの(続きが気になる)
- 定期更新コーナー(更新のタイミングが分かる)
- 毎月の業界トレンドまとめ(定期的にチェックしたくなる)
など、「また来たくなる理由」が設計されているコンテンツです。このように読者が「次回も読もう」と思える仕掛けが、ファン化の起点になります。リピーターを獲得するためにメールマガジンの購読やブックマークを促す施策も行っているケースが多いです。
また、自分のメディアのどのコンテンツがリピーターに読まれているかを確認するには、GA4の探索レポートで「ユーザーセグメント」を活用するのが効果的です。
確認の手順は次のとおりです。
- GA4の左メニューから「探索」を開き、「自由形式」レポートを作成
- セグメントの設定で「新しいセグメントを作成」を選び、「ユーザー セグメント」を作成。「リピーター」という名称を入力
- 条件は「イベント > session_start」、「パラメータ > その他 > イベント数 > ≥ 2」 を指定し、適用
- ディメンションにページタイトルやURLを設定して、リピーターがよく読んでいるページを確認

これをすると、「意外な記事がリピーターに愛されている」という発見があることが多く、サイト全体のPVランキングの上位とは違う顔ぶれが出てくることもあります。それがファンを作っているコンテンツの正体なんです!

リピーターに支持されているコンテンツの傾向を分析して、同じようなシリーズを増やしていく。それが、PV優先のメディアからエンゲージメント優先のメディアへ進化させる、もっとも現実的なアプローチだと思っています。
GA分析で「ファンを育てる」第一歩を
「PVを増やすこと」と「ファンを育てること」は考え方は違いますが、矛盾はしません。
新規ユーザーを呼び込みながら、その一部をリピーターへ、リピーターの一部をファンへと育てていく。それがオウンドメディアとして長く愛される媒体を作る上で、もっとも大切なサイクルです。
まず、今回紹介した数値や分析方法を一度でいいので試してみてください。数字を見て「うちはまだここか」と感じるか、「意外と戻ってきてくれているな」と気付くか、そしてどの記事が貢献しているかを知るだけでも改善の第一歩を踏み出すことができます。
今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。
また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
▼関連記事
Google アナリティクス4(GA4)解説資料
Google アナリティクス4(GA4)の基本的な考え方や、はてなブログ管理画面での設定方法、オウンドメディア担当者が見るべきデータなどについて、ウェブアナリストの小川卓様に解説いただいています。具体的な活用方法もまとまっているので、GA4に興味はあるけれど使い方が分からない方にもおすすめの資料となっています。
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01






