
株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓 (
id:ryuka01)です。
オウンドメディアの運用担当者は日々、数字の改善を狙い、さまざまな施策を実行しています。しかし、その施策が本当にユーザーに刺さっているのか、瞬発的ではなく中長期的に見ても有効なのかは、継続的に追っていく必要があるでしょう。
私自身、これまで多くの企業のアクセス解析支援に携わってきましたが、「施策を打ったことは覚えているけど、その後どうなったかは追えていない」という声を本当によく聞きます。これは、決して珍しい話ではありません。むしろ、ほとんどの現場で起きていると言っても過言ではありません。
なぜそうなってしまうのか。そして、どうすれば「ふりかえり」を無理なく習慣化できるのか。今回は、GA4の「期間比較」と「メモ機能」を活用し、効果検証を習慣化する方法を紹介します。
- 施策が「やりっぱなし」になってしまう3つの理由
- GA4の「期間比較」で施策前後を正しく比べる
- GA4の「メモ機能」で施策の記録を残す
- 「期間比較×メモ機能」の実践ワークフロー
- 効果検証を習慣化するための3つのコツ
- メモを残して「やりっぱなし」から卒業しよう
施策が「やりっぱなし」になってしまう3つの理由
まず、なぜ施策の効果検証が後回しになりがちなのかを整理しておきましょう。
- 1. 忙しくて振り返る時間がない
これが最も多いパターンではないでしょうか。新しい記事の公開、SNSの投稿、次のキャンペーンの準備……。日々のタスクに追われて、過去の施策を振り返る余裕がない。アクセス解析がメイン業務の方以外は、そうなると思います。
- 2. いつ何をやったか思い出せない
「確か3月頃にCTAボタンの色を変えたはず……」「あのリライト施策っていつだっけ?」。1カ月、2カ月と経つと、施策の実施日がどんどん曖昧になっていきます。メールや共有ドライブを探し回って気づいたら30分経っていたということもあるのではないでしょうか。
- 3. 比較の仕方が分からない
最後はスキル面の課題です。GA4で施策前後を比べたいけど、どうやって期間を揃えればいいのか、どの指標を見ればいいのか。ここで手が止まってしまう方も少なくありません。
このような課題を解決するため、GA4には便利な機能が標準で備わっているんです。それが「期間比較」と「メモ機能」です。
GA4の「期間比較」で施策前後を正しく比べる
GA4の期間比較は、異なる期間のデータを並べて表示できる機能です。施策の効果検証には欠かせないのですが、意外と使いこなせていない方が多い印象があります。
基本的な使い方
GA4のレポート画面を開くと、右上に期間(日付)が表示されています。
これはレポートの表示対象となる期間が設定されていますが、2つの期間を設定して比較することも可能です。
例えば、1月28日にサイトのリンクを改修したとします。この場合、改修後の1週間(1月28日〜2月3日)と、改修前の1週間(1月21日〜27日)を比較することで、変化を可視化できます。

利用するには右上の日付をクリックし「比較」のチェックボックスをオンにします。そのうえで2つの期間をリストから選ぶ、あるいはテキストボックスに入力してください。

選択すると、画像のように2つの期間の数値が並んで表示されます。施策前後での指標(流入数、閲覧時間、離脱率など)の変化が一目瞭然になり、「% change」で増減率も自動で分かるため、成果を瞬時に判断できます。
比較する際の注意点
ここで1つ、比較する際の重要なポイントをお伝えします。期間を比較するときは、曜日を揃えることを意識してください。
なぜかというと、多くのオウンドメディアは曜日によってアクセス数に差があるからです。BtoB系のメディアであれば平日にアクセスが集中しますし、ライフスタイル系であれば週末に伸びることもあります。施策前後で比較する曜日がズレていると、施策の効果なのか曜日の影響なのか判断できなくなってしまいます。
具体的には、施策実施日を起点に「前週の同じ曜日から始まる7日間」と比較するのがおすすめです。
GA4の「メモ機能」で施策の記録を残す
さて、期間比較の使い方は理解していただけたと思いますが、「いつ何の施策をやったか覚えていない問題」は解決していません。
ここで活躍するのが、GA4の「メモ機能(アノテーション機能)」です。この機能を使うと、GA4のグラフ上に「この日に○○を実施した」という記録を残せます。

設定方法
メモ機能は、レポートの右上のアイコンから追加できます。

アイコンを押すと、画面右側に「メモビューア」が表示されます。

アイコンを押した後に右下に表示される「メモを作成」ボタンをクリックすると、日付とメモの内容を入力する画面が表示されます。ここに施策の内容を記録していきましょう。
例えば、こんな感じです。
- 「トップページのメインビジュアルを変更」
- 「人気記事ランキングのウィジェットを追加」
- 「記事Aをリライト(タイトル・リード文を変更)」

「期間比較×メモ機能」の実践ワークフロー
では、実際にこの2つの機能を組み合わせて効果検証を行う流れを解説します。
ステップ1:施策実施日にメモを登録する
施策を実施したら、その日のうちにGA4でメモを作成します。このとき、施策の内容だけでなく、以下のように「何を狙った施策なのか」も書いておくと、後で振り返りやすくなります。
- 「4/15 記事Aリライト実施(直帰率改善を狙い、リード文を具体化)」
- 「5/20 記事下の資料請求ボタンを変更(CVR改善狙い、色を緑から赤へ)」
ステップ2:1〜2週間後に期間比較で効果を確認する
施策から1〜2週間が経過したら、期間比較を使って「施策前」の数値と見比べてみましょう。
このとき、グラフ上にはメモ機能で登録した内容が表示されています。「あ、この日に施策を打ったんだな」とすぐに思い出せるはずです。

ステップ3:結果をもとに次のアクションを決める
比較した結果、数値が改善していれば施策は成功です。同様の施策を他のページにも展開することを検討しましょう。
一方、数値に変化がなかった、あるいは悪化した場合は、仮説を見直す必要があります。
大切なのは、「うまくいかなかった」という結果も価値ある情報であるということ。「この施策はこのメディアには合わなかった」という学びを得られるわけですから、決して無駄ではありません。
ぜひ、得られた気づきもメモの説明欄に追加しておきましょう。150文字まで入力可能です。
効果検証を習慣化するための3つのコツ
最後に、効果検証を継続的に行うためのコツをお伝えします。
- 1. 検証する日をカレンダーに入れてしまう
施策を実施したら、2週間後の同じ曜日にリマインダーを設定しておく。これだけで、振り返りを忘れるリスクが大幅に減ります。
- 2. 完璧を求めすぎない
全ての施策を細かく分析しようとすると、それだけで疲弊してしまいます。まずは「主要な施策だけ」「月に1〜2回」から始めてみてください。小さく始めて、徐々に習慣化していくのがおすすめです。
- 3. チームで共有する
GA4のメモ機能は、同じプロパティにアクセスできるメンバー全員が閲覧できます。自分だけでなくチーム全体で「いつ何をやったか」を共有できれば、引き継ぎの際にも役立ちますし、ナレッジの蓄積にもつながります。
まずはこれらを意識して、少しずつ「ふりかえり」を日常業務に馴染ませていきましょう。
メモを残して「やりっぱなし」から卒業しよう
今回は、GA4のカレンダー「期間比較」と「メモ機能」を活用した効果検証の方法をご紹介しました。
施策を打つことはもちろん大切ですが、その効果を正しく把握し、次のアクションにつなげることはもっと大切です。「やりっぱなし」から卒業するために、まずは次に実施する施策から、メモを残すことを始めてみてください。
小さな一歩ですが、これを続けることで、皆さんのオウンドメディア運用は確実にレベルアップしていくはずです。ぜひ、明日から試してみてください!
今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。
また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。
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Google アナリティクス4(GA4)の基本的な考え方や、はてなブログ管理画面での設定方法、オウンドメディア担当者が見るべきデータなどについて、ウェブアナリストの小川卓様に解説いただいています。具体的な活用方法もまとまっているので、GA4に興味はあるけれど使い方が分からない方にもおすすめの資料となっています。
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の役員、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
X:@ryuka01









