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「会社のWordPressサイト、このまま続けていいのだろうか」。近年、WordPress運用の負荷や保守体制を見直す企業も増えています。

本記事では、WordPressの法人運用で起きている典型的な5つの困りごとと、その対処として注目されているSaaS型CMSへの移行について、得るもの・失うものの両面から整理します。

「はてなCMS」を運用する事業者として多くの企業のCMS導入・移行を支援してきたはてなが、法人サイトの担当者や決裁者が押さえるべき「CMS移行の具体的な判断基準」を解説します。

    この記事で分かること
  • 法人サイトのWordPress運用で発生する「5つの典型的な課題」
  • 移行先となる「SaaS型CMS」のメリットと見過ごせない制約
  • WordPressを続けるか、移行の検討をすべきかが分かるチェックリスト

「脱WordPress」を考える企業は増えている

WordPressは長年、世界で最も使われてきたCMS(Content Management System、Webサイト管理システム)で、調査機関「W3Techs」のデータ(2026年時点)によるとCMS市場において約59%のシェアを占めています(参考:W3Techs「Web Technology Surveys」)。

一方で、企業の選択肢は増えています。実際に、SaaS(Software as a Service、月額課金型のクラウドサービス)型プラットフォームが世界的に注目を集めているというデータもあります(参考:Kinsta「Is WordPress still a good choice for building websites in 2026?」)。

しかし、ネット上の「脱WordPress」情報は小規模サイト向けの記事が多く、法人の商用サイトやオウンドメディアが参考にできる情報は少ないのが現状です。

そこで本記事は、企業のサイト担当者が次のステップを判断できるよう、現場で実際に起きている課題と、移行のメリット・デメリット、実際に比較検討されている方法を整理しました。

法人サイトのWordPress運用で起きている5つの課題

日々の更新業務やセキュリティ対策を進める中で、多くの担当者が直面しがちな「5つの課題」を具体的に見ていきましょう。

WordPressの5つの課題

課題1:プラグイン更新を止めると怖いが、アップデートの負荷は高い

WordPressの脆弱性対策において、特に注意すべきはテーマやプラグインの管理です。セキュリティ企業「Patchstack」の統計データによると、これまでに3万9,000件以上の脆弱性情報が登録されており、その99%がプラグインまたはテーマに起因するものです(参考:Patchstack「WordPress Vulnerability Statistics」)。

セキュリティ更新を怠るとリスクが積み上がる一方、適用するとプラグイン同士の干渉や、有料テーマとの互換性問題で表示崩れや不具合が発生することがあります。アップデートのたびにステージング環境で検証する余裕がない運用では、セキュリティ対策が「とりあえず後回し」になりがちです。

しかし、JPCERT/CCの最新インシデント報告レポートによれば、2024年第3四半期だけでWebサイトの改ざんが53件報告されており、うち19件はECサイトのクレジットカード情報窃取が目的でした(参考:JPCERT/CC「JPCERT/CC インシデント報告対応レポート」)。法人サイトの改ざんは、企業ブランドや顧客信頼の毀損、場合によっては個人情報漏洩リスクに直結します。

WordPressを動かすプログラミング言語である「PHP」のサポート終了(EOL:End of Life、サポート・提供終了)への対応も急務です。古いPHPのまま放置されている既存サイトは、セキュリティを維持するためにアップデート判断を迫られることになります。直近では、PHP 8.1が2025年12月31日にサポートを終了しました(参考:PHP「Supported Versions」)。

課題2:「あの担当者しか触れない」サイトになる

カスタマイズを重ねたWordPressサイトは、特定のエンジニアや特定の外注先しか触れなくなる傾向があります。

担当者の退職や外注先の変更で、サイト運用の引き継ぎが難しくなるケースもあります。「過去にカスタムテーマを作ったエンジニアが退職して、誰も内容を理解できる人がいない」「外注先を変えようとしたら、データの引き継ぎが想像以上に大変だった」という声は、業界記事でも繰り返し取り上げられています。

WordPressのテーマ・プラグインの組み合わせは、カスタマイズが一定規模を超えると属人化しやすくなります。一定数のカスタマイズを施した時点で、「もし担当者が変わったら、誰がメンテナンスをするのか」という引き継ぎや継続性の問題は、避けて通れない大きな課題であり、経営判断の対象にもなるでしょう。

課題3:保守費用が「何に払っているのか」見えない

国内のWordPress保守費用は、ホームページ制作会社の見解では月額3,000円〜5万円程度という幅で報告されています(参考:DigitalCube LabWorks「WordPress 保守の費用相場は? サイト規模別の料金目安と適正予算の決め方」)。

ただし内訳の透明性は提供業者によって大きくばらつきがあります。「月3万円の保守費を払っているが、内訳は『一式』としか出てこない」という状況は珍しくありません。

予算組み・稟議の場面で、内訳が見えない費用は決裁者に説明しにくい側面があります。決裁者から「この保守費、何に使われているの?」と問われたときに答えられない状況は、運用担当者の大きな悩みでしょう。

課題4:運用を続ける中で、サイト表示速度の維持が難しくなる

WordPressサイトでは、記事の蓄積やプラグインの追加、画像の積み増しなどにより、運用年数とともに表示速度が低下するケースがあります。

GoogleのCore Web Vitals(Webサイトのユーザー体験評価指標 )の基準では、LCP(Largest Contentful Paint、主要コンテンツの表示時間)は2.5秒以内が「Good」とされています。WordPressサイトでは、構成や運用状況によって、サーバー設定・画像最適化・キャッシュ設計など継続的なパフォーマンス改善が必要になる場合があります。

Googleが過去に行った調査によると、ページの読み込み時間が1秒から10秒に伸びると、モバイルサイトの訪問者が直帰する確率は123%上昇すると報告されています。表示速度の低下はユーザー体験を損ね、コンバージョン率や数値の悪化に影響を及ぼすリスクがあるため、継続的な監視や改善が重要になります(参考:Think with Google「Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed」)。

課題5:サイト更新・修正のリードタイムが長過ぎる

WordPressサイトの更新を外注先に依頼している企業では、軽微な修正でもリードタイムが発生します。

採用サイトで「募集要項の順番を入れ替えるだけ」のような変更が外注先への発注を経由する場合、見積→発注→作業→確認→反映で、合計1〜2週間かかることが珍しくありません。事業のスピードと更新サイクルが噛み合わないことが、機会損失につながりかねません。

特に採用ピーク(新卒・中途の山)の時期や、季節ごとのキャンペーンを打つ時期に、「今すぐ変えたいのに間に合わない」という状況は、現場で課題として挙がることがあります。

5つの課題に悩む企業の「SaaS型CMS」という選択肢

SaaS型CMS移行で変わること

5つの課題に共通するのは、「WordPressを運用する体制とコストの構造」の問題です。

近年、これらの構造的な課題への対処として、SaaS型CMSへの移行を選ぶ企業が増えています。SaaS型CMSは、月額固定料金でベンダーがインフラ・セキュリティ・アップデート対応を担う形態のCMSで、以下のような特徴があります。

  • サーバー・PHP・本体・プラグインのアップデート、セキュリティパッチの適用がベンダー側で一括して自動対応・管理される
  • 特定のエンジニアや外注先に依存せず、共通のシステムと管理画面で運用を標準化しやすい
  • 月額料金が明示されているため、予算組み・稟議が容易
  • 共通インフラの最適化により、アクセス増加や長期運用による表示速度の経年劣化が起きづらい構成を取れる
  • ノーコードエディタにより、外注を通さず編集者が管理画面から直接更新できる

SaaS型CMSへ移行する企業も見られるようになっています。例えば、はてなが提供する「はてなCMS」(旧はてなブログMedia)は2014年から法人向けに提供されており、現在までに100超のメディアで利用されています。

www.hatena.ne.jp

SaaS型CMSへの移行で得るもの・失うもの

SaaS型CMSへの移行で「全てが解決する」わけではありません。得るものと失うもの、両方を表でまとめました。

※ここでいうSaaS型CMSは、主に企業サイトやオウンドメディアの移行先として比較検討されるオールインワン型のサービスを想定しています。

得るもの

領域 変化
運用負荷の軽減 サーバー・本体・プラグインのアップデート対応が不要に
セキュリティ ベンダーが脆弱性対応・SSL・バックアップを担保
更新スピード オールインワン型のSaaS CMSの多くはノーコードエディタを搭載していて編集者が直接更新可能
軽微な更新であれば、外注を介さず対応しやすい
表示速度 共通インフラ最適化により、運用後の経年劣化が起きづらい構成を取れる
料金の透明性 月額の明朗料金で、予算組み・稟議が容易

失うもの

領域 制約
プラグインの自由度 WordPressのプラグインエコシステムは使えません
必要な機能はベンダー標準機能か外部サービス連携で代替します
カスタム投稿タイプ WordPressのcustom post typeとは異なる情報設計になる場合があります
カテゴリの階層化 カテゴリの階層化への対応状況や表現方法は製品によって異なります
WordPressと同じカテゴリ構造を再現できない場合があります
EC機能 EC機能への対応状況は製品によって異なります
必要に応じて、外部サービスとの連携やEC特化サービスを利用します
高度なカスタマイズ プログラムによるサイト挙動の自由なカスタマイズには制約があります
移行コスト 既存記事のデータ移行工数やURL構造の変更に伴う作業が発生します
また、移行初期には検索順位(SEO)が一時的に変動するリスクもあります

カスタマイズの自由度やEC機能の要件によっては、SaaS型CMS以外の選択肢も含めて検討が必要です。

一方で、「企業として安定運用したい」「更新スピードを事業スピードに合わせたい」「編集者が自分で更新したい」というニーズにはSaaS型CMSは合致すると言えます。

「脱WordPressを検討すべき会社」「WordPressの継続が適している会社」のチェックリスト

ここまで読んで「自分の会社は当てはまるかな」と思った方向けに、簡単なチェックリストを用意しました。

移行を検討する価値が高い会社

  • WordPressサイトの保守費に数万円以上かけているが、内訳が見えない
  • プラグイン更新で過去にトラブルが起きたことがある
  • 担当者が退職したら誰もサイトが触れなくなる懸念がある
  • 表示速度の遅さでユーザーの離脱率に影響が出ている
  • 編集者が自分で更新したいのに、外注依存になっている
  • セキュリティ責任を社内で持ち続けることに不安がある

3つ以上当てはまる場合、移行の検討価値は十分にあると考えます。

WordPressの継続が適している会社

  • 社内にWordPress専任のエンジニアがいて、プラグイン・カスタマイズを管理できている
  • ECサイト機能やフォーラム機能など、WordPressプラグインの強みが必要
  • カスタム投稿タイプを多用したサイト構成(商品カタログ・スタッフ紹介データベース等)

これらに該当する場合、無理にSaaS型CMSへ移行する必要はありません。

おわりに:判断材料として、移行ガイドをご用意しています

WordPressからの移行は「やる/やらない」の二択ではなく、「自社のどの課題をどこまで解消したいか」の選択です。

本記事で取り上げた「移行を検討する価値が高い会社」のチェックリストのうち、3つ以上が当てはまる場合は、もう一歩踏み込んだ情報をご覧ください。

はてなCMSでは、WordPressサイトからの移行を検討している方向けに、「WordPress→SaaS型CMS 移行完全ガイド」 を無料で配布しています。移行7ステップ、WordPressからのインポート手順、スケジュールの組み方やサイト規模別の目安期間、よくある質問まで、実務で使える内容にまとめました。

WordPress→SaaS型CMS 移行完全ガイド

「WordPress→SaaS型CMS 移行完全ガイド」をダウンロードいただけます。
こちらの資料は、WordPressサイトのSaaS移行を検討中の方におすすめの資料となります。判断材料として、ぜひご活用ください。
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