再審請求や恩赦の可能性を考慮したり、死刑廃止論、法務大臣の心理的影響などが執行されない原因だと聞きました。
さて、法務大臣は国民の模範として法を遵守すべき立場だと思いますが、このように刑事訴訟法に定められた手続きを執行しないことは、犯罪行為にあたらないのでしょうか?
※なお、この質問は「死刑制度の継続を願う」といった類いの物ではなく、法務大臣が法律を守らなくても咎められないの?という単純な疑問によるものです。死刑制度が必要かどうかという論争は望んでいません。
http://www.ron.gr.jp/law/law/keiji_s7.htm
刑事訴訟法 第七編 裁判の執行・附則
刑事訴訟法475条2項の但書:
「上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。」
ということですので、例えば再審請求・恩赦の出願などが出されていてその手続が終了するまでは、法律上、死刑執行命令を出せないのです。
http://www.houko.com/00/01/S23/131B.HTM#s7
刑事訴訟法・第3編〜第7編
第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
第479条 死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。
とありますので、恩赦の可能性だとか心神喪失状態だとかいくらでも理由はつけられるようになってます。なので、犯罪行為にはあたらないかと思います。
それは、理由をつけて執行を停止することができるという意味ですよね。
執行を停止しないで、執行しない場合は、罪に問われるんでしょうか?
URLはダミー
たしかに第475条により、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならないとありますが、そのあとの「上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。」の分あります。
つまり、どの死刑囚にも、上告や恩赦の出願をさせることで、期間に入れないようにしているのです。よって、法務大臣は法律違反でもなく、罪になりません。
法には触れないように対処しているわけですね。
たまたま上告や恩赦の出願が遅れてしまったらどうなるのでしょうか?
なるほど。だいぶ見えてきた気がします。
『刑事訴訟法は法務大臣の死刑執行を法的義務としていない』という一文が正しいのであれば、執行を停止する措置をとらずに放置しても、なんら問題はないというわけになりますね。
もう少し募集してみます。
URLはダミー。
法務大臣による死刑執行は、行政法上では「法務大臣の裁量」に委ねられた「行政行為」ということになっています。
また、行政官が職務上行った行政行為に対しては、故意で無い限り不法行為とはなりません。(国賠法1条2項)
職務上の裁量行為に対する不作為(例えば死刑執行を実行しないような)の場合は、上記のような理由から犯罪行為とはなり得ません。
また、判例は、「高度の政治的行為には、裁判所による違法・適法の判断はなじまない」としています。この法務大臣の行為も、「政治的行為」に当たるのではないでしょうか。
なるほど。
死刑廃止論がある以上、執行するかどうかが「政治的行為になる」というのも納得です。
ありがとうございました。
再審請求・恩赦の出願などが出されてい場合は出せないとしても、それらが出されていない時期であれば必ず執行するわけではないですよね?
そういう場合はどうなんでしょう?