※「はてなブログMedia」は2025年2月にブランド刷新を行い「はてなCMS」として提供をしております。 本記事ではインタビュー当時の旧サービス名称となる 「はてなブログMedia」記載のままの掲載としております。
専門メディアの視点が活きる、ゴルフが軸のライフスタイルメディア

左:プロデュースグループ グループ長 中里 康勝(なかざと やすのり)
_WEB制作会社での制作・ディレクション業務を経てGDOに入社。以来、広告企画、制作、システム開発、アドテクノロジーを担当。
右:企画グループ 當間 奈津子(とうま なつこ)
_EC事業会社でWEB制作を開始。WEB制作会社を経てGDOに入社。デザイナー・ディレクターとして広告案件・編集案件を幅広く担当。
__国内最大級のゴルフメディア「ゴルフダイジェスト・オンライン」(以下、GDO)を持つ御社が、ライフスタイルメディアとして新たに「BRUDER(ブルーダー)」を立ち上げたねらいを教えてください。
中里さん GDOは2000年に開設されたゴルフ関連の総合サイトです。報道機関としてゴルフの情報を正確かつ客観的に伝えるというコンセプトを持っており、「マスターズ・トーナメント」(海外4大メジャー大会の1つ)でオンライン専業メディアとしては日本初となる公式メディアパスの発給を受けました。また、リオ五輪で112年ぶりに復活したゴルフ競技でもクレデンシャルを発給されて現地取材をするなど、高い信頼をいただいています。このメディアとしての役割を中心に、ECやゴルフ場予約サービスを提供しています。
一般的にゴルフというと「中年っぽい」「仕事がらみ」といったイメージを持たれる方もいますよね。しかし、ゴルフは老若男女が同時に楽しむことができ、コミュニケーションツールとしても役に立つ、素晴らしいスポーツであり文化です。それをより多くの人にわかってもらいたい、ゴルフのイメージを改善したい、あわよくばゴルフはカッコ良いと思ってもらいたい、という目的で立ち上げたのが「BRUDER」です。

__現在はどのような体制で運用していらっしゃいますか?
中里さん 編集が2名、制作・運用が1名という体制です。ただ、GDO本体の仕事なども担当しており専属ではありません。
コンテンツ制作については外部のスタッフに依頼しています。実は、メンズファッション業界で長く活躍していらっしゃる編集者、カメラマン、ライターさんにかなりのゴルフ好きな方がいらっしゃって、以前から弊社の編集者と一緒に何かやりたいねと話をしていたことがBRUDERの立ち上げにもつながっているんです。そのご協力で、クリエイティブディレクター、スタイリストなど選り抜きのスタッフの方々に参加していただいています。
__GDOはゴルフ専門ですが、BRUDERはなぜクルマ・ファッション・時計などにカテゴリーを広げたのでしょうか?
中里さん ゴルフをする人の割合は年収と相関関係があることが知られています。GDOのユーザー分析でも高級車やラグジュアリーな時計などに興味を持つ人が多い傾向が見えていました。カテゴリーを広げたのは、こうしたユーザーの興味に合わせたコンテンツを提供したいというねらいがあったこと、そこに広告戦略を加味して考慮したことが理由です。
__コンテンツの特色はどんなところですか?
中里さん 外部スタッフの方々の力によるところがとても大きいのですが、上質なクリエイティブ表現にこだわって制作をしていることですね。また、ちゃんとゴルフを知っているメディアがライフスタイルのカテゴリーを扱っていることが強みになっていると思います。
ゴルフ専門でない媒体がゴルフに関連した特集を出すと、写真ひとつ見てもクラブの持ち方が不自然だったり、明らかにちゃんと振っていない状態で撮っていたりして、ゴルファーにはすぐわかってしまうんです。その点、私たちはゴルファーの視点を理解してコンテンツに活かすことができます。
例えば、ゴルフ場の緑の景色の中で映えるファッションは街中とは全く違うんです。普通のスタイリストさんが選ぶと無難すぎてしまうところを、我々ならゴルファーの目線で選んで提案できます。だから、ゴルファーの方が何かを選ぶときに、ちゃんと参考になる情報として見ていただけるということはあると思います。
2度のシステム移行、選定で重視したポイントは?
__BRUDERは設立から現在までに2度のシステム移行をされたとうかがいました。どのような経緯で今の形に至ったのでしょうか。
當間さん 最初の立ち上げは2年ほど前になります。ローンチ期日があらかじめ決まっていて、準備期間が2〜3ヶ月と短くシステム構築が間に合わなかったため、当初はHTMLを手作業で編集して運用していました。デザインのテンプレートはデザイン会社の人に制作してもらい、コンテンツ部分は私がタグを編集し、更新するという流れです。週に2〜3回、多いと4回くらい更新していました。他の仕事も兼務しながらだったので、負担が大きかったですね。
中里さん その後、半年ほどして独自開発のCMSに移行しました。作業的には、静的なHTMLのテンプレートからPHPに近い動的なテンプレートに代わり、WYSWYGを目指した管理画面で入力する、という形になったのですが、その編集機能が扱いづらくて結局ソース表示にしたり、別のエディタに持って行って作業して戻す…といった状態でした。その他の面も含めてなかなか効率が上がらなかったので、抜本的な改修を行うことになりました。
__そこから「はてなブログMedia」へ移行されたわけですね。選んでいただいたのにはどんな理由があったのでしょうか?
中里さん 実は使用中のCMSをもっと使いやすい形にしようと二次改修の話が出ていたのですが、当初の要件だけでそれなりの見積もり額になってしまい、今後出てくるであろう追加開発のコストも考えると頭の痛いところだったんです。この時、一般に出ている製品版のCMSも検討対象とすることになり、その候補の一つに「はてなブログMedia」が入っていたんです。
選択した理由には、スペックや機能が求めているものにマッチしていたことや、コスト感の良さがありました。はてなさんが追加開発を独自に行なっていくというロードマップがあることもポイントでしたね。オープンソース系などは採用しても後でメンテナンスや改修のコストが膨らんでくるものですよね。その点、保守だけなく追加開発が含まれているのは優位性のあるところだと思いました。社内システム部門からも、技術面で信頼できるとすぐに承認してもらえました。
__CMSの移行やコンテンツの乗り換え作業は大変でしたか?
中里さん はてなさんの担当者が技術的なサポートに入ってくれたので、何かあれば問い合わせると大体すぐに回答をもらえて助かりました。サードパーティのツールで利用していたmeta要素をそのまま移行できなくて困った時には、フロントで追加記述するという方法を教えてもらって対処できました。
當間さん コンテンツの方は、元のCMSに入っていたHTMLを300記事ほど手作業で移しました。コピーして、編集画面に貼り付けて保存…という形で。一部CSSの調整が必要な部分があったので、そこだけちょっと手間がかかりましたが、あとは思ったほどの負荷ではなく、管理画面も非常に軽くてサクサクと作業できましたね。
中里さん 2ヶ月くらいかかると思っていたら、2週間ほどで終わりました。ドメインの向きを変える(DNSの切り替え)のもすんなりできましたね。
__導入されてから、制作や運用作業に変化はありましたか?
當間さん 更新頻度は大きく変わっていませんが、私が手を動かすことは本当に少なくなりました。編集の人と外部スタッフの方でほぼ完結するようになったことが非常に大きいですね。最近は一部の外部ライターさんにアカウントを発行して、下書きの状態で入稿してもらえるようにしたので、より効率が良くなりました。これまで時間がなくて後回しになっていたデザイン周りのことにも、手が回せるようになりましたね。
独自のユーザー層形成を目指した取り組みへ
__BRUDERで今後取り組んでいきたいことはありますか?
中里さん 最近、Facebookページでファンを育成することに力を入れています。ファンになっていただいている方のプロフィールを見ると、大企業の役職者や中小企業の経営者などが比較的目立っていて、親和性は高いと思っています。現状、BRUDERへの流入はGDO本体のリンクからがほぼ半分を占めていまして、その影響でユーザー層も似通った構成になっています。ある程度BRUDERの特色が見えてきたものの、まだ鮮明に違う層がいるとは言えない状態なので、Facebookやその他の外部チャネルも活用しながら独自のユーザー層を形成していきたいと考えています。
また、そうしたユーザーに対して、単に読み物コンテンツをお届けするメディアの役割に留まらず、購買や予約といった具体的なアクションを促すことができるような取り組みを行っていきたいと考えています
__ありがとうございました。
国内最大級のゴルフメディア「ゴルフダイジェスト・オンライン」が贈るゴルフウェア、ファッション、クルマ、カルチャーを中心とした ゴルフライフスタイル クラスマガジン「BRUDER」の事例をご紹介しました。今後も、さまざまな導入企業様のインタビューをお届けしてまいります。
写真:赤司 聡
執筆:笠井 美史乃