「pixiv inside」が度々の変遷を経て、社員みんなの発信する"私たちのメディア"になるまで

ピクシブ株式会社のオウンドメディア「pixiv inside」は、スタイルやプラットフォームを変えながら長期間にわたり運営が続けられてきました。その変遷の背景と、全員が書き手として助け合う姿勢の秘訣をうかがいました。

技術系の企業によく見られる、技術部門運営によるエンジニアブログ。ピクシブ株式会社のオウンドメディア「pixiv inside(https://inside.pixiv.blog)」も、元々は同社のエンジニアブログとしてスタートしました。その後、リニューアルや体制の変更を経て、現在は採用広報を中心に幅広く社内の情報を発信するメディアとして運用されています。ピクシブ株式会社の小芝敏明さんbash@bash0C7officialさんとして、記事内の写真ではアバターで登場いただいています)にお話をうかがいました。

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pixiv inside(https://inside.pixiv.blog/)

ピクシブ株式会社 コーポレート基盤部マネージャ 小芝 敏明(こしば・としあき)| bash@bash0C7official
_SIer、開発会社でのエンタープライズ系システム開発を経て、2010年 VOYAGE GROUP(当時ECナビ)に入社。ポイント、価格比較、アドネットワークなどの事業のエンジニアリングとアジャイルな開発の推進に従事。2013年11月 ピクシブ株式会社にアドテクエンジニアとして入社。広告配信システムのフルスクラッチリプレースの他、マネージャとしてエンジニア採用、評価、育成、組織作りにと幅広くコミットし、VP of Engieering、関連会社CTOなどを務めてきた。
現在は、会社全体としてのシステム化を推し進めて、技術の力でプロダクティビティを守ることをメインミッションとして活動している。

エンジニアブログから、社員みんなが発信する場所へ

__「pixiv inside」は長い歴史をお持ちとのことですが、どのような経緯でスタートしたのでしょうか?

小芝さん もともと「pixivエンジニアブログ」として10年以上前からエンジニア有志が書いていたブログがあったのですが、技術部門に限らず社内のことをもっと出していこうという方針のもと、2015年に「pixiv inside」と名前を変えて運用が始まりました。

2016年に全社的な発信体制を整えるため部署横断の「編集チーム」が発足し、2017年にはデザインの自由度を求めてWordPressへ移行しました。その後、拡張性やメンテナンスの部分で難しい面が出てきたため、マネージドサービスに頼りたいと考えまして、2020年1月に「はてなブログMedia」へ移行しリニューアルしました。現在は採用広報の一環として幅広く情報発信をしています。

__現在の「pixiv inside」の役割をどのように位置付けていらっしゃいますか?

小芝さん ここから採用応募のコンバージョンを直接獲得しようとは考えていなくて、今のところ私たちの日常を綴って時系列で残すことに主眼を置いています。訪問者の方にサイト内を巡ってもらい、私たちのことを知ってほしいという、認知のための存在と言った方が近いですね。

というのも、当社のサービスである「pixiv」は創作活動をする多くの方々にご利用いただいていますが、働く場所としては意外なほどにイメージを持たれていないんです。「ピクシブって会社だったの? 」という方もいらっしゃるくらいで(笑)そのため、会社のリアルな息遣いやアクの強い部分も、良い形で見てもらいたいと考えてやっているところです。

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アバター姿の小芝さん(bashさん)@ピクシブ東京オフィス

__確かに、社員インタビューから鉄道模型の走るデスクまで、社内の幅広い話題をいろいろな方が書いていらっしゃいますね。

小芝さん はい、全員を書き手として、書きたい人に手をあげてもらうパターンと、編集チームが依頼して書いてもらうパターンがあります。

__採用広報を目的としたメディアの場合、社内を巻き込んでコンテンツを制作することに苦労されているという話もよく聞きますが、貴社の場合は何か工夫などされていますか?

小芝さん 率直なところ、書いてもらうことは楽ではなく、個別にアプローチするなどのアクションは必要になります。ただ、アプローチすれば応えてくれる人が多いのは、創作活動やコンテンツ作りを楽しむ我々のカルチャーに支えられているからかもしれません。

そのほかにも、良さそうな話題があれば「inside チャンス」というSlackのリアクションで記事化を促す動きをつくったり、アドベントカレンダーで連続更新を企画するなどの取り組みも行っています。また、採用部門の担当者が書くキーパーソンのインタビューも継続していく予定です。

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__これまでの「pixv inside」の歴史や理念をまとめた社内向けドキュメントがあると伺いました。どんな目的でお書きになったのでしょうか?

小芝さん どんな取り組みでも、徐々に手段と目的が入り混じってくるものです。(ドキュメントを書いたのは)何のために「pixiv inside」を運営しているのかを改めて言語化することで、目指す事柄を自分自身が再認識する意味合いが大きかったですね。

先ほどの記事化促進のお話と少し重なりますが、今回のリニューアルを機に管理職クラスも巻き込んで、よりアクティブに書いてもらえる環境にしたいという狙いもあります。。まだ道半ばではありますが、ドキュメントを共有したことで、「ぜひあなたの部のメンバーによる記事をお願いします」と頼みやすくなったと思います。

「傷つけない」ために、みんなの助け合いレビュー

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__その他、社内でコンテンツを制作するうえで意識されていることはありますか?

小芝さん ボトムアップでやっている分、気をつけていることもあります。テーマについてはそれぞれ書きたいことを書けばいいのですが、その内容で誰かを傷つけたり、不用意に煽ったりすることは避けようと周知徹底しています。書いた人はまず身近な同僚にレビューしてもらい、重ねて公開前には編集チームのメンバーが社内で共有されている編集ガイドのドキュメントを参考にレビューをしています。

ドキュメントでは、具体的な事例を共有して「こうしたケースは避けたいね」といったように認識を合わせたり、採用系の記事なら事前に人事に見てもらうといった取り組みもしています。

それが堅苦しい業務的な承認フローでなくお互い助け合って取り組む形になっているところは、同人誌制作的な感覚に近いのかもしれませんね。またエンジニアのコードレビュー文化や、開発した新機能を社内に限定公開してフィードバックを得ることが日常的に行われている点も、影響しているように思います。

__読者からの反応や、採用に関する直接・間接の手応えはありましたか?

小芝さん 最近ですと、私がコーポレートエンジニアリング部署の採用に関して話した記事が公開されたのですが、採用候補者の方に「ぜひ読んでみてください」とお知らせしたところ、「とてもよく飲み込めました」とお返事をいただきました。オフィシャルな媒体では書ききれなかったりフォーマットに縛られる情報もありますが、「pixiv inside」では思いの丈を綴るようなコンテンツも掲載出来ています。

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「アークナイツバトルイラストコンテスト」開発作戦 - pixiv inside

エンジニアが書いたイラストコンテストのメイキング(上記)では、広告商品としてメディアガイドに書ききれない部分を営業部門のお客様に見ていただくなど、アウトプットが意外なほどいろいろなところにつながると感じています。私たち自身も他職種の仕事を知ることができて、社内の相互理解につながっている面もあると思います。

__そういった点はリモートワークでより重要になっているかもしれませんね。

小芝さん そうですね。コミュニケーションには何かの媒介、共通言語が必要になります。その役目を果たせることは、オウンドメディア=自分たちのメディアの価値でもあるのかなと思いました。

__KPIのような数字的な指標は設定していらっしゃいますか?

小芝さん 今は記事の公開本数を追いかけています。PVやUUも社内のSlackで公開したりして共有はしているのですが、いまは自分たちでコントロールできる数字として、いかにしっかりと情報発信できているか、という点に絞っています。

一時期は、記事がSNSやはてなブックマークで盛り上がるなど、たくさんの方に読んでいただける記事を書いた執筆担当者を表彰する取り組みをしていたこともあるのですが、ヒット狙いを書きたくなってしまったり、逆に「このネタは見られないからいいや」と記事化に消極的になってしまったりなど、当社のその時の流れにはいまいちフィットしなかったので廃止しました。

__「pixiv inside」にとって、はてなブックマークからの流入はどのような位置付けですか?

小芝さん リーチを広げる役割ですね。「おすすめ特集(企業メディア枠)」に掲載されることで読まれる量が跳ね上がるのは、当初の想像以上でした。

コンテンツに集中できるから、エンジニアの力は本業のサービスへ

__WordPressからはてなブログMediaへ引っ越しを決めた理由は何だったのでしょうか?

小芝さん まず、サイト内検索をしたいという要望が社内にありました。WordPressは社内で開発していましたが、やはり専門ではないので、どんなプラグインが適しているのか、その負荷がどうなのか、いろいろ考えるのは少々骨が折れました。もちろん社内にはソフトウェアエンジニアたちがいますのでサイト内検索の開発ノウハウはあるのですが、オウンドメディアにそこまで工数はかけられない…という状況でした。当初は運用負担改善のために社外の開発者やライターさんに入ってもらっていた時期もあったものの、その後運営体制が変わったりして、やや扱いかねる部分を感じていました。

__はてなブログMediaを選んでいただいたポイントはどんなところでしたか?

小芝さん エンジニアがソースコードを扱うことが多いため、コードスニペットを簡単に貼れることが選定要件にありました。WordPressではなかなか苦労していた部分なんです。かつ、我々らしいカラーにカスタマイズできる柔軟性があり、オウンドメディアに適したフルマネージドのサービス…と考えるとほぼ「はてなブログMedia」一択でしたね。以前、エンジニアブログの頃に「はてなブログPro」を使っていたので、操作感も問題ありませんでした。


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(はてなからのおすすめ)WordPressからはてなブログに移行した際のデプロイ環境整備については、福岡オフィスのエンジニアさんの以下記事をぜひご覧ください!
GitLab CIとPuppeteerを使ってはてなブログのデザインを継続的にデプロイする - pixiv inside - pixiv inside

__最後に、企業でオウンドメディアを担当する方、導入を検討している方にアドバイスがありましたらお願いいたします。

小芝さん 一つは、「何のためにオウンドメディアをやるのか」ですね。始める前によく考えたいですし、始めてからもずっと考え続けることになると思います。それは大変ですが、楽しいので、やった方がいいと考えているならぜひ仲間を募って取り組んでみるのがいいと思います。

もう一つは、皆さんオウンドメディアに100%コミットできるわけではなく、何かと兼任になると思いますので、できるだけコンテンツ制作に集中できる環境を選ぶことが、初手としては良いだろうと思います。何かのバージョンアップ一発でサーバやシステムが動かなくなってしまうのはよくある話で、そうした作業一つひとつがハードルになってきます。その点、はてなブログMediaのおかげで私たちのエンジニアリングのパワーはメインのユーザー向けサービスの方に集中させることができています。

__ありがとうございました。

企画・制作:はてな
執筆:笠井 美史乃

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