オウンドメディアでリーチを広げるニコンの「オン/オフ」コミュニケーションのつくりかた

株式会社ニコンイメージングジャパンは、マーケティング課題の解決のため、Webマガジン「NICO STOP(ニコストップ)」で新しいブランドを打ち出しながら、さまざまな企画に取り組んでいます。その狙いと成果をうかがいました。

f:id:hatena-contentmarketing:20200114142015j:plain
NICO STOP編集部

株式会社ニコンイメージングジャパンは、マーケティング課題の解決のため、Webマガジン「NICO STOP(ニコストップ)」で新しいブランドを打ち出しながら、さまざまな企画に取り組んでいます。その狙いと成果をうかがいました。

新しいファンを増やすための新しいブランド

f:id:hatena-contentmarketing:20200114142448p:plain
https://nicostop.nikon-image.com/

__「NICO STOP」はどんな媒体なのか、簡単にご紹介をお願いします。

中里さん 20代~30代の若い世代の方や、これからカメラを始めたい方を主な対象に、カメラがあるとどのように生活が豊かになるのか、写真やカメラを楽しむための情報を届けていくメディアです。私たちは「フォトライフスタイルWebマガジン」と呼んでいます。

__どのようなマーケティング課題からオウンドメディアの立ち上げに至ったのでしょうか。

中里さん ニコンはこれまでSNSを中心に気軽に写真を楽しんでらっしゃるような若い世代のユーザー層にはなかなか上手くアピールできていないという課題がありました。ニコンを愛してくださるコアなユーザー層以外にも、ニコンの製品について興味を持っていただくきっかけづくりが必要だと考え、オウンドメディアの立ち上げを企画しました。

いろいろな方法がある中でオウンドメディアという手段を選択したのは、伝えたいことをきちんと伝えられると考えたからです。リーチしたいと考えたターゲットには、ニコンのカメラの機能や性能を訴求するだけでは響きません。写真の撮り方やカメラの選び方といったノウハウから、フォトグラファーによる旅行記、写真を楽しむ方々のインタビューなどを発信することで、これまでとは違う層を開拓したいと思っています。デザインなども含めて、これまでとは違う世界観やイメージを構築できる点もオウンドメディアの良い点ですね。

f:id:hatena-contentmarketing:20200114142601j:plainf:id:hatena-contentmarketing:20200114142724j:plainf:id:hatena-contentmarketing:20200114142731j:plain
株式会社ニコンイメージングジャパン マーケティング本部 広報宣伝部
中里健太さん(左)・畑澤梨奈さん(中)・富岡 真以さん(右)

__ユーザー向けには、ニコンイメージングのサイトにある「Enjoyニコン」でもさまざまなコンテンツを提供していらっしゃいますが、新たに「NICO STOP」を立ち上げたのはなぜでしょうか?

中里さん 先ほども少し触れましたが、若い方が見て「自分も参加したい」と思ってもらえるような、新しい旗印、ブランドを作りたいと思っていたんです。ニコンの名前やブランドイメージが最初に出ていると、既存のユーザーさんに向けたリーチはできますが、新しいユーザーさんは入って来づらくなるであろうと考えました。そこで既存メディアとは完全にブランドを分けることにしました。

__実際に新しいユーザーさんが来訪されているのでしょうか。

中里さん はい、企画面でもフットワーク軽くさまざまなチャレンジができていますし、その結果、これまでとは異なる層の方々に見ていただいています。

ニコンブランドに縛られず、カメラを楽しむための情報をお届けしている「NICO STOP」では、現行製品の情報をお届けるすることがメインになるニコンのコーポレートサイトとは異なる観点での企画が可能です。これまでアプローチできていなかった若い世代のなかには、新しい製品ではなくフィルムカメラや昔のレンズのレトロ感が好きという方もいらっしゃいます。「NICO STOP」ではそうした層へのアプローチとして、フィルムカメラや昔のレンズを使った企画も実施しています。

これまでとは違う視点でフォトグラファーを起用

f:id:hatena-contentmarketing:20200114143629j:plain

__制作・運用はどのような体制で行なっていらっしゃいますか

中里さん 宣伝広報部でWeb領域を中心に担当するWebコミュニケーション課の中で、私と畑澤、富岡の3名を中心に記事の企画・編集を行なっていています。3名といっても、みんな専任ではないので、実際には1.5人くらいのイメージです。私の場合は、「NICO STOP」のほかには、Z シリーズ(ミラーレスカメラ)の販促物などのディレクションを担当しています。

畑澤さん 私はニコンイメージングのWebサイト更新を担当していて、製品のページ作成などを行なっています。

富岡さん 私はユーザー向けコンテンツ「Enjoyニコン」を担当しています。私たちの他に、企画の相談やイベント運営、SNS施策などでさらに4名のスタッフに参加してもらっています。メンバーは営業部や製品企画系の担当者などです。

__いろいろな場所に出かけたり、インタビューしたりと、非常に丁寧な記事が多いようですが、制作にはどのくらい時間をかけているのでしょうか。

畑澤さん 制作会社さんと一緒にミーティングでアイデアを出し合って記事テーマを決めたあと、制作はそこから1ヶ月半〜2ヶ月程度かけています。

富岡さん わりとしっかり時間をかけて作っていると思います。テーマの決め方もさまざまですが、記事にご登場いただきたいフォトグラファーさんを先に決めて、フォトグラファーさんを軸に企画を考えるというケースもあります。

__お声がけするフォトグラファーさんをどなたにするかは、どのように決めてらっしゃるのでしょうか。

畑澤さん InstagramやTwitterなど、基本的にはSNSを中心にリサーチして、これまでニコン公式ではお願いしたことのないようなSNSで活躍する方や、若い世代の方たちに人気のある方にお声がけしています。

__フォトグラファーの方が何のカメラを使っているかは気にされますか?

畑澤さん うーん…見ますね(笑)。でも他社さんの製品でも私たちは全然問題ないと思っています。あまりその会社のイメージがついてしまっている方ですと難しいかもしれませんが。

オフラインの活動も含めたファンづくり

f:id:hatena-contentmarketing:20200114143737j:plain

__「NICO STOP」ではSNS上のフォトコンテストや、オフラインのフォトウォークなどの企画も度々開催していらっしゃいますね。

中里さん ターゲットである若い世代の方に気軽に参加していただきたいと思って企画しています。フォトウォークでは読者の方々とリアルに顔を合わせて会話をすることができて、記事がきちんとユーザーさんに響いているのだと感じることができました。

富岡さん 参加者の方々が、お互いに撮り合ったり教え合ったりしていたので、カメラをあまり知らないという方からは「勉強になった」という声や「写真が楽しくなった」という嬉しいご感想を頂きました。そうした声を直接聞くことができるのはとても励みになります。そして、参加いただいた方々が楽しんで使ってくださっている雰囲気をきちんと伝えることも大切だと思っています。

__オフラインでのコミュニティ形成は「NICO STOP」立ち上げの際に企画していらっしゃったのでしょうか。

f:id:hatena-contentmarketing:20200203152951j:plain

中里さん Webメディアだけでなく、SNSやオフラインを含めた展開をすることは考えていました。実はフォトウォークで集まってくれた方がお持ちのカメラは、7割が他社製品だったんです。だからこそ、イベントをきっかけにニコン製品に触れていただいたり、レクチャーを受けていただきながら楽しんでいただけたのはとても大きかったと思っています。

畑澤さん オンラインで製品情報をお伝えするのと、来てくださった方とのコミュニケーションの中で伝えるのでは全然違います。直接お話しすることで熱量もお伝えできるのはオフラインの良さですね。

CMS運用を相談できる安心感

f:id:hatena-contentmarketing:20200114143900j:plain

__運用にあたってKPIは設定していらっしゃいますか。

中里さん マンスリーのUUを見ています。ただ、自分たちの首を締めることになるのであまり決めすぎないようにはしています。実は、運用開始当初の目標を低く見積りすぎて、リリース後2週間程度で達成してしまったんです(笑)UUは達成しましたので、その後は目標をチューニングしながらやっています。

__オウンドメディア立ち上げの際のKPI設計はとても重要ですよね。成果が出てくるまでに時間がかかるケースも多いので苦労されているご担当者が多いと感じています。目標を柔軟にチューニングしていくことが難しいケースもあると思いますが、コツがあれば教えてください。

中里さん やはり上司をしっかり巻き込むことは大事だと思います。あとは課題感をしっかり共有すること。マンスリーのUUをKPIにしたというお話をしましたが、それとは別に「最初はユーザー数よりもとにかく記事数を重視して1年で100本掲載することをしっかりやりきる」と宣言して、それに合意してもらっていました。そうは言ってもやはり、多少は言われます(笑)ただ、オウンドメディアの運用だけではなく、イベントの実施なども含めた展開をしているので、そういう意味ではリアルな声が集まったり、ユーザーさんやフォトグラファーさんとの接点づくりに貢献したりなど、UU以外の効果が実感できていることも大きいかもしれません。

__広告やSEOなど、流入獲得のために実施している施策はありますか?

畑澤さん いまのところ広告は使っていません。SEOは当初はあまり意識していませんでしたが、最近は企画段階から配慮するようにしています。リリース初期は記事にご登場いただいたフォトグラファーさんのフォロワーを中心に、SNS経由の流入が9割を占めていたんです。それが現在は約半分が検索経由にまで伸びてきました。

__具体的にどういったことを意識されたのでしょうか。

畑澤さん 企画の段階で、こうしたキーワードで興味を持ってくれるユーザーさんにはこういう企画がいいのではないかなどを考えるようになりました。あとは。title要素とソーシャルメディア向けタイトルの使い分けができる「高度なタイトル設定()」の機能を使って、ソーシャル向けには、通常のタイトルより内容に触れる具体的なワードを含めるといった工夫をしています。

__CMSの選定について重視されたことを教えてください。

f:id:hatena-contentmarketing:20200114144121j:plain

中里さん ひとつはセキュリティがしっかりしていることです。社として気にするところだったので、選定には影響しています。

あとは、営業担当がついてくれて、いろいろと相談できる点が良かったです。WordPressなどを使うことも検討したのですが、運用などの相談が直接できるわけではなく、開発会社が入ることになるとコストの問題も出てきます。同じツールをずっと使えるかどうかという安定性も気になっていたので、はてなさんならそういう意味での安心感もあると思いました。

富岡さん 編集や更新のしやすさも重視したポイントですね。記事制作には制作会社さんにご協力いただいているので、アカウントによって権限を分けることができる「複数人編集()」はとても便利です。制作会社さんのアカウントには、下書きの保存までの権限をお渡ししていて、テキストも写真も管理画面から保存してもらうと下書きプレビューですぐに確認ができます。その後、公開権限のあるわれわれのアカウントで修正などに対応してから公開作業をしています。社外の方にお渡しする権限を制限しつつ、やってもらいたいところまでは同じ管理画面から作業してもらえるので、無駄な作業が発生しません。はじめて記事を書いてもらう際にも、制作会社さんに特別なレクチャーなどをしなくても、管理画面をパッとみて直感的に操作してらえたので、とても楽でした。

中里さん あとは、はてなさんのサービスである「はてなブログ」や「はてなブックマーク」経由での自集客が期待できることも魅力でした。ブックマーク経由でソーシャルに拡散するには、そこを狙った企画なども必要なので、これからの課題だと思っています。

オン/オフを交え、よりコミュニケーションを大切に

f:id:hatena-contentmarketing:20200114144003j:plain

__すでに成果が出ていることがあれば教えてください。

中里さん 読者の方から「NICO STOP」を見てニコンのカメラを購入したとご連絡をいただくことがあります。現状はまだ定量的にそのような成果を測れる段階ではありませんが、読者の方からの反応やSNSの反響などを見ていると、もともと抱えていたマーケティング課題に対して、成果に結びつきつつあると感じています。

また新たなフォトグラファーの方とのつながりがうまれたことも非常に良かったです。記事にご協力いただき、記事の制作に関わる中で、フォトグラファーの方がニコンのカメラを好きになってくださることもあります。そうした方々からの発信が自然発生的に広がっていて、とてもありがたいなと感じています。今後はオフラインでの活動をもっと増やしていきたいですし、より大規模なイベントにもチャレンジしたいなと思っています。

__読者やフォトグラファーさんとのコミュニケーションが成果のカギになっているようですね。

富岡さん 「NICO」がNIKONの「K」でなく「C」なのは、コミュニケーションの「C」を表していて、これは一方的な情報発信でなく読者の方と一緒に写真やカメラを楽しみたいという思いからです。オフラインも含めて、お客様とコミュニケーションしていけたらいいなと思っています。

畑澤さん 「NICO STOP」のロゴにあるバス停のイメージには、いろいろな人がここに集まり、新しい発見や気付きを得て、また別の場所へ出発していく発着点になりたいという、そんな意味を込めています。これからも、たくさんの人に写真を楽しんでほしいという思いで取り組んでいきたいです。


__ありがとうございました!

企画・制作:はてな
写真:赤司 聡
執筆:笠井 美史乃

オウンドメディア専用CMSなら、
はてなブログMedia。

オウンドメディア構築は専用CMS
「はてなブログMedia」で
他社成功事例のご紹介や構築プラン、
工程、デザイン、お見積作成など、
経験豊富なスタッフがお客様に合った
ご提案やアドバイスを行います。

オウンドメディアの成長を
「編集支援」と「集客支援」の両軸で
サポートします

CMS

オウンドメディアを効率的に起ち上げ、手間なく運用できる専用CMSです。

はてなブログMedia

はてな MediaSuite

ネットで話題になるメディア&コンテンツの企画・制作を行う編集支援サービスです。

はてな MediaSuite

はてなブックマーク ネイティブ広告

オウンドメディアの集客課題を解決するネイティブフォーマットの広告サービスです。

はてなブックマーク
ネイティブ広告

まずはお気軽に
お問い合わせください

オウンドメディアの「構築」「編集」「集客」
いずれのテーマでも、お気軽にご相談ください。
他社成功事例のご紹介など、経験豊富な
スタッフがお客様に合ったご提案やアドバイスを行います。