導入事例:コロナ禍の更新再開、「みんなのごはん」を支えたのは「愛され」の力 - 株式会社ぐるなび

「みんなのごはん」は、飲食店情報サイト「ぐるなび]」のオウンドメディアとして2013年に運用をスタートしました。外食レポートから自炊まで、多彩なクリエイターが食に関する楽しい記事を発信してきましたが、2019年6月に多くのファンに惜しまれながらの更新停止。その後2020年4月に復活を遂げ、現在は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、今後に向けたさまざまな準備を進めています。今回は「みんなのごはん」編集部の船津さんに、現在に至るまでのエピソードと、今後に向けてお話を伺いました。

みんなのごはん」は、飲食店情報サイト「ぐるなび」のオウンドメディアとして2013年に運用をスタートしました。外食レポートから自炊まで、多彩なクリエイターが食に関する楽しい記事を発信してきましたが、2019年6月に多くのファンに惜しまれながらの更新停止。その後2020年4月に復活を遂げ、現在は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、今後に向けたさまざまな準備を進めています。今回は「みんなのごはん」編集部の船津さんに、現在に至るまでのエピソードと、今後に向けてお話を伺いました。

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https://r.gnavi.co.jp/g-interview/

株式会社ぐるなび 飲食店支援事業部 メディアサービス企画部 船津 亮平
_音楽情報誌「月刊ラティーナ」の編集を15年担当後、2014年8月株式会社ぐるなびに入社し「みんなのごはん」にジョイン。ブラジル音楽が得意。

みんなのごはん年表

  • 2013年2月:みんなのごはんスタート
  • 2014年2月:CMSを「はてなブログMedia」に移行
  • 2019年6月3日:みんなのごはんの更新停止を発表
  • 2019年6月末:みんなのごはん更新停止
  • 2020年4月9日:更新停止を停止


「see you again」から「we are back」まで


__2019年6月、多くのファンに惜しまれながらの更新停止となりましたが、当時はどのような様子だったのでしょうか?

船津さん 「みんなのごはん」は「ぐるなび」本サイトでリーチできていない新しいユーザー層との出会いを創出することを目的に運用していたオウンドメディアでしたので、直接的な売上などを重要なKPIとしていませんでした。そうした前提での運用が長く続いていたのですが、ここ数年の会社と会社をとりまく状況がいろいろと変化する中で、事業のひとつひとつが様々な角度から精査され、総合的に更新停止の判断となった、というものです。

__更新停止のお知らせや、更新停止直前の総集編コンテンツには、はてなブックマーク上で多くのファンからのコメントが集まっていましたね。更新停止を知らせる記事のURLが「see-you-again」だったことから、復活の日が来ることを信じていたファンも多かったと思いますが、どういった経緯で再開に至ったのでしょうか。

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https://r.gnavi.co.jp/g-interview/see-you-again のURLで公開された更新停止のお知らせ(2019年6月3日)

記事に寄せられた「はてなブックマーク」のコメント
[B! グルメ] 【心のベスト10、第一位はこんな記事だった…!】みんなのごはん総集編:読者の皆様に愛された記事ベスト10 - ぐるなび みんなのごはん
[B! メディア] みんなのごはん更新停止のお知らせ - ぐるなび みんなのごはん


船津さん 社内でも更新停止を残念に思ってくれる人たちが少なからずいて「みんなのごはん」のことをずっと気にとめてくれていました。更新停止後もコンテンツはそのまま残してあったのですが、手をかけていないにも関わらず、ずっとトラフィックや記事経由でのCVが生まれ続けていたんです。そして「これを運用ゼロのまま置いておくべきではない」と社内で声を上げてくれる人が現れて、再開への動きが始まりました。2019年10月頃なので、更新停止から4ヶ月後くらいのことです。私を含め社内の数人が動いて、上長と役員にプレゼンし、再開へ向けた準備が進められることになりました。

__プレゼンの内容はどういったものだったのでしょうか。

船津さん 「みんなのごはん」とオウンドメディアの持つ価値を改めて整理し説明しました。この部分とこの部分で蓄積されるアセットが、会社の事業にとって武器になっていく、と…。

メディアのスタート以降、「みんなのごはん」が担う役割は少しずつ変わっていきましたが、ユーザーとの距離を縮めることと、食の機会に「ぐるなび」を想起してもらえるユーザーを増やすことを目的に、楽しんでもらえる記事や企画を続けてきました。「PVを追わない」「バズの数字を気にしすぎない」「時事性を追いかけすぎない」という編集方針でしたが、コンテンツが積み重なっていくうちに、少しずつ記事からも店舗への送客やCVへの貢献が見られるようになりました。

そうは言っても、会社の事業全体で見ればオウンドメディアが生み出す数字は小さいものです。わかりやすい事業貢献の数字だけではコストは見合わないですし、そこだけで判断すると、更新再開のジャッジは難しいので、副次的な効果や、「みんなのごはん」の読者が「ぐるなび」というブランドにどういう影響を与えてくれているのか、様々な角度で可視化して伝えました。結果、「新年度から改めて武器にし直す」という判断を頂戴しました。

__更新再開の記事にもポジティブなコメントが多かったですね。

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https://r.gnavi.co.jp/g-interview/we-are-back のURLで公開された更新停止のお知らせ(2020年4月9日)

船津さん ありがたい限りです。更新停止の間も「みんなのごはん」を検索で読みにきてくれたり、シェアしてくれたり、ブログの読者登録が少しずつ増えていたりして、離れている間も育っていてくれて、再開できたのもそうした方々がいてくれたおかげです。

以前の編集部は更新停止と同時に解散してメンバーは転職や独立など散り散りになり、私も別部署へ異動になっていたんですが、もし奇跡が起きて、もう一度「みんなのごはん」が再起動するなら絶対に挙手しよう…と夢想していました。再開の件が俎上に乗ってからは、自分がやらなくては、他のメンバーに申し訳が立たないと思っていました。編集部で残ったのは私1人でしたので…。再開にあたってライターさんに声をかけたら喜んでいただけましたし、社内でもいろいろな部署の人から「よかったですね」と声をかけてもらえて、改めて「愛されてたメディアだったんだな」と。


書きたいことを筆圧高く、板挟みの環境の中でもできることを


__ファンを獲得するメディア運営について、どんな形で意識していらっしゃいますか?

船津さん 一番意識しているのは、「ライターさんの書きたいことを書いてもらう」という点です。「面白いことを書きたい」じゃなく、「書きたいことを書いているから面白い」のかなと…。特に再開以降は「書きたいことを筆圧強めで書いちゃってください」とお願いしてきました。このライターさんはこの状況下で、どんな形で食を楽しんでいるのかを私自身が知りたい、というスタンスです。

__オウンドメディアで初めて編集に関わる企業担当者さんだと、そのあたりのバランスに苦労されることが多いと聞くことがあります。

船津さん 以前はそういうこともありました。ペルソナとかターゲットとか、母数とか対策KWとかばかり気にして、ライターさんが書きたい題材に対して、そのネタは極端すぎるから数字が見込めないと思います、とダメ出しするのを続けてしまったことがあって…。それはあとから猛省したんです。そういうことじゃないな...と。面白がっているものを熱量をもって筆圧強めで書いてもらって、それをどう調整するか、配信日、タイトル、サムネイル画像、SNSポストなどの諸々を含め調整し、1人でも多くの読者に届けるかが自分の仕事だろうと思い直しました。今はできるだけライターさんの熱量と書きたいことを尊重しています。

逆に、複数の店舗を紹介するまとめ記事のような、狙いやフォーマットが決まった内容であれば、そういう記事を得意とする方に書いてもらっています。ライターさんの得意領域によってお任せする内容を分けているというイメージです。そうは言っても、再開からここまではあまり冒険せず、これまでお付き合いのあった方にお願いしてきたものが多いので、来年度は新しいことに挑戦していきたいと思っています。

__制作体制は、いまどのような形なのですか?
 
船津さん まずはスモールスタートということで再開したので、マネジメントも編集実務も社内では僕1人でやっています。以前は4-5名だったのでギリギリですね!現在、月間のPVで言うと、毎日更新していた頃と比較して6〜7割程度にはなっているのですが、社内でプレゼンスを上げるには今の倍かそれ以上はないと何も言えないなーと思っています。ただ予算の関係もあるので過去の資産も活用しながら運用していくしかない。そう考えると、過去記事の調整作業をこなしていく必要があるんですが、その点で「はてなブログMedia」は扱いやすいんです。お世辞抜きで。フルスクラッチのCMSとかだと、そうはいかないケースが多いので。ブログ形式は楽ですね。

__2020年4月、緊急事態宣言直後の再開でした。本来はエイプリルフールである4月1日に「更新停止の停止」をお知らせして、翌4月2日から通常更新を続けるという企画があったと伺いました。

船津さん 緊急事態宣言に関するフェイクニュースも予想される中、当初予定していた企画は、4月1日にやるのは違うという判断となりました。その後、緊急事態宣言が4月7日に発出され、「飲食店とユーザーに寄り添う」という再開のコンセプトをもって、2日後の4月9日から更新再開としました。

せっかく再開したのに、飲食店をどう応援したらいいんだろう?いまみんなのごはんにできることは何だろう?と考えて、SNS上の発言をどんどん貼り付ける形でテイクアウト情報のまとめ記事を更新し続けたんです*。「ぐるなび」加盟店かどうかとかは関係なく、他社さんのグルメサイトのURLや、GoogleマイビジネスのURLでも区別せず載せる運用でした。

r.gnavi.co.jp

ユーザーさんもたくさん協力してくださったおかげで、どんどんアップデートしていくことができました。これはシステムの力も大きくて、コンテンツの更新に手間がかからない「みんなのごはん」ならではのものだったかなと思います。先ほどの繰り返しになりますが「ぐるなび」本体や、フルスクラッチのCMSとかでできているほかのコンテンツでは、こんな風にサクッと公開するのはどうしても難しいので。

__その後も緊急事態宣言が数回発出されるなど、飲食店を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続いています。

船津さん そうなんです。「ぐるなび」は飲食店情報サイトなので、外食をしたいときに使っていただけるサービスですが、「みんなのごはん」はメディアなので、記事を通じて主張が伝わるものになるじゃないですか。この状況のなか、どういった記事をお届けするのが良いのか、すごく考えました。1年前は、飲食店を取り上げても取り上げなくても炎上するリスクを日々感じ続けていました。いまも外部環境を見ながら、慎重にコンテンツの企画を進めている状態です。

__かなり難しいところですよね...

船津さん めちゃくちゃ難しいです。本当に。本当に! 毎日ボロボロですよ…。

いまはもどかしい想いですが、またアフターコロナに向けていろんな準備をしています。再開したものの、やりたいことができている状況ではないですので、そのときに備えてやれることをやっているという感じです。

__緊急事態宣言はライターさんとのコミュニケーションにも影響がありましたか?

船津さん ライターさんとはメールやビジネスチャットツールに加え必要に応じてオンラインでミーティングしていますが、昔は取材の後に飲みに行ったり雑談したりしながら得られる情報やアイデアが形になることが多かったので、そういった機会が失われているのが企画の面でつらいなーという気持ちです。ライターさん自身もいろんな飲食店に足を運んで情報収集しづらい状況が続いているというのもありますね。感染状況が好転しこれからまた徐々に変わっていってくれるのを願うばかりです。


オウンドメディアが直接的に貢献できる時まで、自分の手でやっていく

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【公式】みんなのごはんスタンプ - LINE スタンプ | LINE STORE より

__「みんなのごはん」は運営を続けるなかでメディアの役割が変わってきていたというお話しでしたが、現在は何を重視していらっしゃいますか?

船津さん 先ほどもお話した通り「PVを追わない」「バズの数字を気にしすぎない」みたいな方針は変わっていないものの、ユーザーに近い距離感で記事を届けることを大切に考えているので、KPIとしてはてなブログの読者登録数やTwitterのフォロワー数は重視しています。

あとはそこからのアクション率ですね。記事を公開したあとで、それらのユーザーがどういうアクションをしてくれるかというのを見て、エンゲージメント率やPV×滞在時間は数値化もしています。ファンの力はメディアを運営していれば常に実感するものですが、そうでない限りは説明しないと伝わらないことが多いので、そこはきちんと可視化して共有するようにしています

__今後計画されている取り組みなどがあれば教えてください。

船津さん これは更新停止前からずっと手付かずなのですが、他社のプラットフォームに依存しないユーザーとの直接のつながりという意味では、メールマガジンの類に取り組んでみようと考えているところです。「この記事はここが面白いと思っているのでこんな風に作りました」という、編集後記のような内容から始められればと。

__いまはまだ飲食店を取り巻く外部環境を意識しながらの更新が続くと思いますが、そんな中で、ユーザーにはどんなふうに読んでほしいといった思いをお持ちですか?

船津さん やはりソーシャルで反応してもらえると嬉しいですね。記事をツイートしたり、「はてなブックマーク」でコメントをいただいたりすることで、「みんなのごはん」のコンテンツを幅広く発信するハブになっていただいているので、引き続き、そうした反応をいただける記事を作っていきたいと思っています。

あとは飲食店を応援するために、テイクアウトや外食の体験をツイートしていただくことでしょうか。「ぐるなび」の加盟店じゃなくても、どんなお店でもいいので、できる形で応援してほしいなと思っています。

「みんなのごはん」を応援してくれたり、訪問してくれたりするユーザーと、「ぐるなび」の会員は、まだまだ属性が異なっているというのが現状です。それは「みんなのごはん」の目的が「ぐるなび」本サイトでリーチできていない新しいユーザー層との出会いを創出することなので、属性が異なっていて当然のことではあります。いまは認知やブランドリフトなど、間接的な貢献がされているフェーズに居ますが、「みんなのごはん」を続けることで、「ぐるなび」のサービス全体への貢献度が高まる日が来ると信じています。オウンドメディアがそこに行くまでには時間がかかりますし、大変ですし、おこがましい夢かもしれませんが、それでもやっぱり自分の手でやりたいんです。メディア愛のない形で外から手を出されるのは嫌なので、そこを目指して朽ち果てるまでやろうと思います。

__ありがとうございました。

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企画・制作:はてな
執筆:笠井 美史乃

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