導入事例:メディア運営に必要なコミュニケーションの力 – LINE株式会社

「LINE公式アカウント」のオウンドメディア「おなじみ」の運営を担当するLINE株式会社 山田賢人さんに、立ち上げの背景から戦略設計、運営方針、心構えや社内のコミュニケーションなどについてお話を伺いました。

LINE株式会社が提供する法人向けサービス「LINE公式アカウント」のオウンドメディア「おなじみ」では、中小規模の店舗オーナーに向けて情報を発信しています。キャッチコピーは「近くの店から、なじみの店へ。」。店舗のリピーターを増やすためのハウツーを解説する記事のほか、店舗オーナーを取材したコンテンツが並びます。

今回は「おなじみ」の運営を担当する山田賢人さんに、メディア運営者が押さえておきたい心構えやコミュニケーションの重要性についてお話を伺いました。

https://onaji.me/

LINE株式会社 法人マーケティング室 コンテンツマーケティングチーム マネージャー 山田賢人
編集プロダクション、Webサービス会社、デジタルエージェンシー勤務の後、2018年、LINE株式会社に入社し現在に至る。

認知獲得と事業貢献の両輪を回していく

__2021年4月に「おなじみ」が立ち上がった背景について教えてください。

山田さん 弊社で提供しているサービス「LINE公式アカウント」の認知拡大・新規ユーザーの獲得を目的に立ち上げました。それまで、顕在層に対するチャネルとしてポータルサイトを運用していましたが、潜在層に情報を届けるためのチャネルはありませんでした。

特に飲食店や美容院などの店舗レベルでは、サービス認知も導入率も改善の余地があったため、そこをターゲットとして始めた施策が「おなじみ」というメディア運営です。

__立ち上げから1年。手応えとしてはいかがでしょうか?

山田さん 2022年4月時点で、1年目の目標としていたPV数は達成しました。ただし、メディア本来の目的は事業貢献です。マーケティング戦略にも多少の変更があったことから、2021年の10月ごろからPVを指標としたメディア認知だけでなく、サービスへのコンバージョン貢献を目的にしたコンテンツ戦略を追加でスタートさせました。コンバージョンの定義は主に、LINE公式アカウントのアカウント開設と、資料ダウンロードに関連する数値です。

「LINE 公式アカウント」サービスページ

__オウンドメディアで成果を出すためには時間がかかると言われています。

山田さん 一般的に、少なくとも2~3年は必要だと言われていますよね。「おなじみ」も立ち上げ後の2~3年は認知獲得に注力する計画でした。しかし、途中から先ほどお伝えしたマーケティング戦略の変更があり、予定より早く事業貢献に取り組んでいくことになりました。

とはいえ、社内の運営体制は私以外にもう1名だけ。リソースも限られていたため、事業貢献を目指した戦略設計とコンテンツ制作の部分で、はてなさんに協力していただくことにしました。

__はてなにお声がけいただいた理由は何でしょうか。

山田さん Webマーケティングに関する知見・知識があって、かつコンテンツの企画と制作まで任せられる企業は意外に少ないと思っています。その点、はてなさんは、どちらもサポートしてくれると考えました。

また、協力してくれるパートナーさんとは、発注する側/される側という関係性ではなく、ひとつの編集部としてチームでメディア運営に取り組めるのが理想だと思っています。CMS(はてなブログMedia)自体は以前から導入していたので担当の方とも面識はあったし、改めてお話ししてみて「一緒にやれたら楽しそうだな」と感じたのも大きかったですね。

__立ち上げ1年で認知獲得と事業貢献を同時に追いかけるのは難しい部分もあったのではないでしょうか。

山田さん ひとつのメディアの中で、両方の目標を追うのは本当に難しいです。今も試行錯誤しています。PVだけが目的なら方法論もありますが、それに加えてサービスについて言及しながら態度変容を起こしていかなければいけない。目的によって企画やコンテンツの制作方法も異なるので、今は切り分けて進めていますが、今後はうまく融合したコンテンツを制作していく必要があると考えています。

__実際に店舗を取材したコンテンツも多いですよね。

山田さん メディアとして、一次情報の発信は大切にしたいと考えています。外部に頼らない記事の根拠となる情報取得という意味でも、今後も取材記事を中心とした制作を続けていきたいです。

__そのほかに編集方針はありますか?

山田さん 企業メディアとして最低限のルールは設けていますし、メディアのコンセプトとなる軸も定めていますが、企画内容については制約を設けすぎないようにしています。そのほうが、はてなさんを含む記事制作のパートナーさんから提案いただける企画の質も上がると思うので。

デイリーポータルZさんとのコラボ企画も、はてなさんからご提案いただきましたが、こうした他メディアとのコラボは面白い取り組みだと感じています。


社内合意をしっかり取っていく重要性

__メディアを運営していくなかで難しさを感じた部分は何でしょうか。

山田さん 立ち上げ時の話になりますが、施策の意味やプランについて社内合意を取っていくことですかね。難しかったというか、気を遣った部分だったかなと思います。

私が所属しているのはBtoBの営業組織で、営業部門だけでなくサービス企画部門や開発部門など、さまざまな事業部と連携しています。特に営業部門は日々の売り上げを追っているので、マーケティング施策の中でもイメージが難しいメディア運用となると、当然、費用対効果などについて理解してもらう必要があります。メディアは効果が出るまでどうしても時間がかかりますし、効果が可視化しづらい部分もあるので「メディアが事業にどう貢献していくのか」ということを説明する必要がありました。


__社内合意の部分はメディア運営担当者の誰もが悩むポイントだと思います。何か秘訣はありますか?

山田さん やはりコミュニケーションに尽きると思います。なぜメディアが必要なのか、メディアが事業にどう貢献していくのかをしっかりと説明する。他部門とコミュニケーションを取る中で出てきた質問や疑問に関しては、企画書を修正しながら何度か提案を繰り返しました。

__説得材料として重要なのは何でしょうか。

山田さん ある程度の実数値を示していく必要はあると思います。先ほど、1年目の目標PV数は達成したと説明しましたが、目標値の算出根拠はペイドメディアとの比較で設定しています。ターゲットとなる領域が近いメディアにペイドで出稿すると仮定した際と、オウンドメディアで記事を展開した場合のPV単価を比較して示したり、いろいろなアプローチをした記憶があります。

__可視化しづらい副次的な効果も大きいなかで、数字を示していくというアプローチにはプレッシャーはありませんでしたか?

山田さん 幸い私が所属する組織の上長はコンテンツマーケティングについて理解があります。ある程度の費用も工数も発生するため、やはり自組織で理解を得られたというアドバンテージは大きい要素でした。また、他部門とも良好な関係が築けているため、組織形態としてある種のやりやすさはあったかと思います。

もちろん、リリースしてまだ1年。これからが正念場ですが、2年目からは本格的にコンバージョン貢献を数値として追っていく予定です。「TRENDEMON(アトリビューション解析ツール)」を導入して、効果の可視化ができるように計測面を整えたりもしました。

メディアを運営する意義が固まっているか

__メディアを立ち上げる際、社内合意を取ること以外で気を付けるべきことはありますか?

山田さん メディアを運営する意義・目的が戦略として固められているか、という点も重要かもしれません。

__目的を持たないまま運営しているケースも多いと聞きます。

山田さん 今は事業者側としてメディアを運営していますが、以前の職場ではパートナー側としてクライアントのメディア運営に携わっていたので、そういった話も耳にしたことはあります。手法としてオウンドメディアが注目された頃だったという背景もあったと思いますが、事業者側が明確な意思や目的を持たず、パートナーに提案から運用までの全てを依頼するケースもありました。

__メディアの意義は事業者で決めることが必須だということですね。

山田さん メディアの意義や目的は、事業者側が決めるべきです。何年か運営したものの目的を見失う、効果が出ないなどの理由でメディアの閉鎖が相次いだ時期がありましたが、出発点に原因があると考えています。

やはり、自社の課題をサービスの全体戦略やKPIなどを理解したうえで整理しないと、オウンドメディアで成果が出すことって難しいんじゃないかと。また、敢えて時間のかかる難しいことにチャレンジするわけですから、担当者の熱量も大切です。

コンバージョン貢献が目的のコンテンツは、LINE公式アカウントのサービス認知もしくは利用を促す設計にしている。メディアの目的を定めているからこそ、メディア自体のグロースと事業貢献を同時に追いかけることができている

__集客施策について教えてください。

山田さん 制作に予算を使いたいため、広告はほぼ活用していません。そんな状況で助かっているのが、スマートニュースやlivedoorニュースなどへの記事配信です。メディアの認知だけでなく、PV数値的にも大きなインパクトがありました。

もちろん、検索経由での流入を意識したSEOコンテンツ、ソーシャルメディアでの拡散も意識していますが、数値を左右するのがコンテンツの企画勝負という現状を否定できないのは課題です。

BtoBの新しい表現方法を模索

__今後のメディア運営で取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

山田さん まだまだ取り組めていないことの方が多いので、当面はそれを全て実行していくこと。事業貢献の観点で言えば、所属する部署で行っているさまざまなマーケティング施策との連携は強めていきたいです。

イベントの開催や集客支援、サービスリリースやキャンペーンなどの企画告知にもメディアを活用できるようになればいいなと思っています。「他媒体にペイドで出稿するより、オウンドメディアで発信した方が費用対効果は高い」という状況に持っていきたいです。

__コンテンツについてはいかがでしょうか。

山田さん 個人的には、BtoBのコンテンツで新しい表現方法を模索したいと考えています。BtoCはコンテンツ企画の幅が大きく、制作方法や表現方法も新しいものを目にする機会が多い。一方、BtoBって王道的で真面目な内容のコンテンツを目にすることが多いと感じています。

訴求内容も対象も限定的で、さまざまな制約があるので致し方ない部分はありますが、既視感のある企画やコンテンツを制作しても面白くないので、個人的に面白さを感じられるチャレンジをしてみたいですね。

__今後の展開が楽しみです。本日はありがとうございました。

企画・制作:はてな
執筆:クマベイス

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